沖→←神←そよ
※百合的表現はないですが、そんな雰囲気です注意。
神楽ちゃんは私の大切なお友達です。私は誰よりも神楽ちゃんを理解して、神楽ちゃんを一番に分っているつもりです。だからすぐに分かりました。神楽ちゃんは、無意識にある男の子を目で追っています。
はじめは喧嘩友達という、私と神楽ちゃんとは違う友達であったはずなのですが、彼もまた神楽ちゃんと同じ視線で神楽ちゃんを目で追っています。
しかし、彼は神楽ちゃんの事が好きだとご自身で分かっているようです。
「神楽ちゃんは、私と一緒にいてくれますよね?」
「当たり前アル。そよちゃんは、私の一番の親友だからネ!」
神楽ちゃんと、彼が喧嘩をしている時に無性に彼に腹が立ちます。私の神楽ちゃんを傷つけるのはとてもとてもイケない事であるから。
「そよちゃん、今度の休みの日に一緒に映画見に行かないアルカ?」
「私でいいんですか?」
「そよちゃんと行きたいアル」
神楽ちゃんはいつも私に笑顔で答えてくれます。けれど知っていますよ?その映画のチケット、本当は彼と行きたかったんですよね?私は神楽ちゃんのことをよく見ているから分かるんです。
神楽ちゃんは、とうとうご自身の本当の気持ちに気付いたようなのです。だけど私は酷い人だから、笑顔でそのチケットを受け取ります。神楽ちゃんはいつも笑顔だけれど、彼の事を思う時はすごくすごく可哀相な笑顔を向けるのです。
その笑顔を見て胸が苦しくなる私は、本当は神楽ちゃんに幸せになって欲しいのに素直に受け入れることのできない狭い人。でも分ってください。神楽ちゃんは、私と友達になってくれた初めての人で、私の一番大切な人なのですから。
「神楽ちゃん、大好きです」
「私もアル!そよちゃんが大好きヨ!」
だからもう少しだけ…。もう少しだけ、私の我儘に付き当て下さいね。
「ずっと、私のお友達でいて下さいね」
「そよちゃんは、ずっと大切なお友達で親友アル」
時が来れば、ちゃんと彼のもとへ行けますから。
「ありがとう、神楽ちゃん」
それまでは、私だけの神楽ちゃんで居て下さい。約束ですよ?
初めまして、さようなら、恋。
END。