今日は、朝からずっと雨だった。見回りに行く時もずっと雨が降っていたので、俺は赤に近い傘をさして、珍しくまじめに見回りをしていた。
しかし、つい、いつもの癖で自然と足が公園に向かった。
ふと、頭をよぎったのはチャイナの顔。
流石に今日みたいな雨の日にはチャイナはいないだろうと思ったのだが、一応行ってみることにした。
「雨、すげえな。」
公園に入ってあたりを見回す。やはり、公園には誰もいなかった。
チャイナもそこまで馬鹿じゃねえんだ。居るわけねえってことくらい分かってるけど、すこし虚しかった。
「しゃあねぇな。今日は確か万事屋方面だったかねィ。」
やる気は起きないが、仕事なので仕方がない。
* * *
まだ雨はやみそうにない。早めに見回って早めに帰ろう。
そう思い、足早に先を進める。
ちょうど、万事屋を通り過ぎた時だった。見覚えのある、ピンク色をした髪を見たのは。
「チャイナ?……あいつ、何やってんでィ。あぁ、やっぱり馬鹿だったか。」
チャイナは、俺の期待を裏切って、傘をささずに万事屋の屋根の上に座って曇天のソラを眺めている。
俺は不思議に思い、万事屋の屋根へと昇った。
「チャイナ、何やってるんでィ。」
「…あぁ、サド。」
「何でィ。センチになってんぞ。」
「五月蠅いアル。黙ってるヨロシ。」
そう言うと、チャイナはまたソラを眺め始めた。
それが、なぜか儚く、綺麗に見えたのはなぜだろうか。
錯覚?
いや、違う。
それは、たぶん彼女の魅力。
魅入られているんだと思う。
悲しげに、ソラを見上げる彼女の瞳には、果てしなく重く、暗いモノがある。
それが、俺に似ているのだ。
それからの俺の行動は簡単だった。
悲しむ女を悲しませないようにする行動と言ったら一つしかないだろィ?
抱き締めた君は
(とても儚いことに気付いた)