俺と神楽は深い愛で、堅い絆で結ばれている。結婚してからも喧嘩は絶えず続いていたし、それが俺達なりの愛情表現だったからだ。屯所へ出勤してからはずっと神楽との新婚特有の惚気話ばかりだったし、周りも悪い気はしていなかったそうだから更にヒートアップ。だって可愛い神楽が悪い。

「おいコラ総悟」

若干一名その惚気話を気に入らない者もいるようだが。まあ、その時はいつものようにバズーカをぶっ放せばいい。俺って天才?

「なんですかィ、土方さん」

「嫁さん、来てるぞ。つーか仕事しろ仕事!どうせまたアレだろ、『神楽が足りないから今から充電!!』的なノリで呼んだんだろーが!」

「な、どうしてそれが分るんでさァ!アンタもしかしてエスパー!?と言うか、俺の神楽を馴れ馴れしく神楽なんて呼ばないで下せェ。キモ!土方キモ!大体、やらなくちゃいけねえ仕事はとうの昔に近藤さんに出しやしたぜ」

「もうお前面倒くせえよ。……確かに仕事してるみてえだな」

「…フッ。ざまーみやがれ、土方」

「ムカつくから一発殴らせろ。頼む、軽くぶん殴るだけだから」

「嫌でィ。…あ、神楽!」

「総悟、お疲れ様。トッシー、総悟ちゃんと仕事したアルか?」

「……珍しくな」

「俺の神楽に気安く話しかけねーでくだせェ」

「お前な…」

神楽に近づき腰に手を回すと、照れたように笑いながらピタリとくっ付く。全てを失っても、神楽だけは手渡したくないと思う。俺だけの、唯一無二の存在。

土方コノヤローと口げんかしていると、神楽が急に黙りこくってしまった。具合が悪いのかと聞けば、別にそうでもないこともないらしい。どっちだ?

「そういやチャイナ娘」

「何アルか?」

「さっき戸口で聞いて欲しい事があるって言ってたじゃねーか」

「そうだったアル!その事を伝えに来たのヨ!総悟にも聞いて欲しいけど、トッシーにも聞いて欲しいネ!」

俺はともかく、どうして土方コノヤローも…。と考えていると、神楽からデコピンをされた。怒ってる顔も可愛い。

「ふふーん、総悟、黙って聞くヨロシ?トッシーも聞いて欲しいのにはわけがあるアル。本当はゴリにも聞いて欲しいんだけどネ…。トッシーとゴリは、総悟の兄弟みたいなものでしょ?総悟の大切な家族アル」

「……まぁ、……そうかもしれねえーけど。俺は神楽が一番でィ」

「もーっ!黙って聞くアル!だから、こういう大切な話は皆に聞いて欲しいのヨ!」

ギュッと俺の手を握る神楽。小さな手だ。

「……あの、ネ。……総悟、パパになるんだヨ」

「パパ?」

「そう、パパ」

「俺が?…その、パパに?」

「うん。総悟はパパ。トッシーとゴリは…おじいちゃんアルな!」

「せめて伯父さんだろうが。…それにしても、総悟が親の身…。先が思いやられるな」

「本当アルな」

いきなりの報告で石化してしまった俺は、二人がどんなに穏やかな表情をして笑っていたか知らない。でも…。

「…チャイナ娘、幸せか」

「知ってるくせに」

「そうだったな。まぁ、なんだ…。アイツの姉貴のかわりに、アイツを幸せにしてやってくれ」

「まかせるヨロシ」

やっぱり俺は、神楽の笑顔が一番好きだ。







停滞恋愛線模様




沖田は神楽ちゃんが一番好きってこと。
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