沖神夫婦/子ども/














お嫁さんになるのが夢。マミーみたいなお母さんになって、子どもを産んで、旦那さんと幸せに暮らす。パピーとマミーは今とっても幸せそうで、私もそうなりたいって思った。

「だったら、兄ちゃんが総楽と結婚する」

真剣な表情で言われて少しドキッとした。だって、お兄ちゃん顔が赤いんだもん。

「へぇー。総楽の事は、神悟が貰ってくれるアルか?」

「神楽はずっと俺のモン」

相変わらずパピーはマミーにべったりだ。お兄ちゃんはちゃかり私の右手を握ってる。ニヤリと笑うお兄ちゃんの顔は、マミーに意地悪するパピーの表情にそっくりでゾクリとした。こわい…。

「むぅ。総悟、今から仕事ダロ。ほら、さっさと着替えて仕事行って来いヨ」

なんて言いながらもマミーは頬を染めてパピーを見つめてる。私、きっともっと大きくなってこんな光景を見たら恥ずかしいんだろうなー。恥ずかしいけど、パピーとマミーの子どもでよかったと思う。

だって、パピーとマミーが仲良しで嬉しいんだもん。パピーとマミーが居てくれたおかげで、私もお兄ちゃんも生まれて来たんだから。

パピーを送るために、マミーは玄関先へ向かった。こうなったら、きっと30分くらいは戻ってこない。嫌がるマミーをパピーがずっと抱きしめたり、……その、ちゅーしたりしてるから。

「総楽」

「なに?お兄ちゃん」

「さっきの、本気だから」

「さっきの?」

拗ねたように窓の外を見るお兄ちゃん。さっきのって、お嫁さんにするって話なのかな。でも、私とお兄ちゃんは兄妹だから駄目だって、前にパピーが言ってた。マミーは笑ってさっきみたいに言ってる。

「うん!総楽も、お兄ちゃんのお嫁さんになりたい!」

「……そんな簡単な気持ちじゃないんでぃ」

ぼそりと言ったお兄ちゃんの言葉は、私には聞こえなかった。でも、お兄ちゃんはたまに、真剣なお話しになるとパピーと同じような話し方をする。その時のお兄ちゃんの表情が好き。だって、パピーよりカッコいいんだよ。

こんな事、パピーに言ったらきっと怒られちゃうんだけどね。

「お兄ちゃん、総楽はずっとお兄ちゃんが好きだよ?お兄ちゃんも、総楽好き?」

「……好き。好き過ぎて死んじまう。なあ総楽、知ってる?好きな人には、ちゅーするんだよ」

「ちゅうー?パピーがマミーにしてるような?」

「そうそう」

「でもそれは恋人とか、ふうふがするってパピー言ってたアル」

「ッチ、クソ親父」

「お兄ちゃん、今何か言った?」

小さな声で呟かれるお兄ちゃんの言葉を、どうしても受け取る事が出来ない。

「総楽は、一生俺と一緒に居ればいいんでぃ。お嫁さんには行かせません!!!」

「それ、お兄ちゃんが言う事じゃないある!!あう…」

「総楽って、たまーに母さんの口癖みたくなっちまうよなー。それ、恥ずかしいから言わないみたいだけど、結構可愛いと思う」

カーッと顔が熱くなった。お兄ちゃんを見ると、もっと顔が赤くなってた。恥ずかしかったのかな?

「あ、暑いなー!」

なんて言って笑って私の頭を撫でるお兄ちゃん。この暖かい手が、ずっと傍にあればいいな思った。

「やっぱり今日はお休みでィ」

そう言いながら戻って来たパピー。絶対お仕事行ってないよね。マミーは首を押さえながら、真っ赤な顔で戻って来た。どうしたんだろう。

「母さん、大きくなったら俺、総楽と結婚する!」

「またその話アルかー。神悟は総楽が大好きなんだネ」

「総楽も、お兄ちゃんと結婚するー!」

「え、パピーは?」

お兄ちゃんを横目にパピーが私を見てきた。パピーは、マミーのだんなさんだから駄目なんだよ。

「パピーには、マミーがいるでしょ!めっ、だよ!」

「そうか、そうだよなー。まあ、マミーは一生パピーのものだから総楽にも神悟にも渡さねえぜ?」

マミーは、パピーに凄く『あいされてる』と思う。お兄ちゃんが私にくれる『あい』も、パピーやマミーと同じ『あい』だったら凄くうれしいな!








愛情と云う名の






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