沖田総悟は、私が知る男の中で最高にモテている男である。
そして、私が知る変態の中で断トツで一位を独占している男でもある。
水底の初恋
どうしてこんな奴がモテているのかが不思議だ。性格は残念だし、顔も全く好みではない。こんな奴がモテるんだったら、私は銀ちゃんを推薦する。だって銀ちゃんは、何でも話を聞いてくれるし、甘い匂いがして好きだ。死んだような目をしてるけど、いざって時にはぴかぴかに光るらしい。銀ちゃんが言ってた。
頬づえをついて沖田の顔を眺める。…やっぱり何処が良いのか分からない。
「俺の顔、ずっと見れるくらいカッコイイかィ?」
「冗談も程ほどにして欲しいアル。なんでこんなヤツがモテるアルか?世の中不公平アル。新八やジミーに女の子分けてあげるヨロシ」
「…上げてぇくれーだよ。あーあ。チャイナが俺の事好きになればいいのに」
「うえー。今日食べたコロッケが出て来そうアルー」
「棒読みってところがムカつく」
はぁ。と溜め息をした沖田。小さな声で呟いた言葉は、ワザとなのか?
「…チャイナの今日のパンツ、紐パンだったらいいのになー」
腐れ外道!!
「って事でちょいと確認させて下せィ」
そう言って私のスカートをめくろうとする沖田。
「な!止めるヨロシ、クソサド!!!!」
私も負け時と抵抗をするが、後ろにあった机がグラリと傾き、私と沖田は床へ墜落。上半身に違和感。あ、なんかスースーするアル。
「いったー!!最悪アル!はやくどけるヨロシ!」
「うわ。チャイナって、見た目裏切らずちゃんとAカップでさァ。俺、貧乳好きだし…。しかも黒の紐パンって…。ちょ、保健室行こうぜィ。今先生もいないし大丈夫だから」
「余計危ないわー!!!」
全力で沖田を投げ飛ばした。机の脚に小指ぶつけて死ね!
「あり得ないアル!もうお前なんて嫌いネ!」
気絶している沖田を余所に、教室から出て行った。クラスメイトは、すでに非難済みだった。
チャイナ娘から総悟の事で相談された。それはもう恋愛相談何かではなく、アレだ。殺人計画。
「ね、トッシーなら分かってくれると思ったから来たアル!一緒に共犯者になってくださいヨ!!」
「いや無理に決まってんだろうが!内容が嫌に辻褄あっててリアル過ぎるわ!ていうか、何で俺?!」
「沖田に呪われてるトッシーなら大丈夫だと思ったアル!それに、もし立場が危うくなったら、トッシーにぬれぎぬを着せれば良いと…」
「要するにおとりだろ?!俺はエサか?!」
涙目で訴えられても駄目だ。俺はまだ生きたいし、チャイナ娘に協力何ぞしたらそれこそ殺される。総悟のチャイナ娘に対する執着心はすでに普通を越えている。異常に近いくらいだ。
「そこを何とか!」
「駄目だ」
「トッシー…」
「…っう」
「なーにしてるんですかィ土方さん」
悪魔だ。サタンだ。サタンが降臨なさった。
「そ、総悟か。…いや、さっきチャイナ娘に頼まれてだな…、勉強を…。な?チャイナ娘…って!」
「チャイナならもう逃げやしたぜィ?ふーん。沖田総悟殺人計画…」
「あ、あああああのな総悟。これには深ーいわけが…」
「土方さん」
背中が異常に寒い。というより汗でぬれている。悪寒が走った。
ニコリと言うような効果音がつきそうな笑顔で総悟が俺を見る。これほどまでにチャイナ娘を呪いたいと思った事はないだろう。さようなら、マヨネーズ。
「死んで下せェ」
ギィヤァァァァア!!!!!!
哀れトッシー。私のために死んでくれたアルか。お前の事は一生忘れないアル。
「チャーイナ」
不意に聞こえた声にビクリと体が強張った。…空耳アル。絶対空耳アル。私、最近耳掃除してないからきっと幻聴か空耳がするネ。あいやー、今日銀ちゃんに耳掃除してもらお…。
「チャイナ、スカートに顔突っ込むぜィ」
「幻聴でも空耳でもないアルゥゥウ!!だ、誰か助けるヨロシ!!!」
私の腰に両腕をまわして首筋を舐めてきた。ヤバいアル!本当にコイツ変態ネ!
「あー。チャイナって良い匂い。それに美味い…」
「く、食われるアル!!」
「はいはい。恥ずかしいんだろィ?安心しなせェ。今からもっと恥ずかしい事すっから、こんなの序の口でさァ」
「はーなーせー!!!」
「あ、酢昆布」
「どこアルカ?!…ッウギャ!!」
お、押し倒された!!
「お、重い!!死ネ!サド死ネ!!退くアル!!!」
「やなこった」
「ちょ、手入れるナ!スカート脱がすナ!!」
ひんやりとした沖田の手が、私の太股を撫ぜてくる。鳥肌が立った。今までに立った事がないほど多くの、まるで心臓に生えている毛の毛穴が全開するように立った!!死ぬアル!私、ここで沖田に食べられて終わりネ!
初体験は、屋外プレイ兼強姦ってそんな仕打ちないアルー!!
「チャイナいただきまーす」
誰かこいつを海の底に沈めて下さい。
(って言うのが始まりだったなァ)
(…今だって無理やりアル)
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沖→→→→→神です。
ギャグな沖田片思い。