企画サイト『うさぎの恋人』様へ提出です。
3Z沖神(恋人)
※キャラが崩れてます。


















そろそろ寒くなって来たんじゃないだろうか。膝掛けを掛けて少しでも寒さを和らげようとする。だって寒いアル。カイロも背中に貼ってるけどやっぱりそれでも寒い。

「沖田。寒いアル。学ラン貸せヨ」

「やなこった。別に俺は寒くねえけど、チャイナに貸すのってなんかヤダ。だいたい、今はそこまで寒くねえだろ」

「寒いから貸せって言ってるんだヨ。黙って貸してほしいアル。沖田が貸してくれなかったら私トッシにでも貸してもらうネ」

「……し、しょうがねえーな…」

ふん。惚れた方が負けって、このことヨ。だって沖田は、私の事をすっごく好き。一応、付き合ってるんだけどネ。

「沖田、最近元気ないアルな。風邪でも引いたアルカ?」

「風邪?いや、引いてねぇけど。俺、そんなに元気ねえか?」

「活気がないって言えばそう言う事アル。張り合いがないって言うか、前みたいに喧嘩もすること無くなったし、なんて言うんだろ。…沖田らしくないネ」

「…今の俺、俺らしくねえのか。前みたいに…でもなァ。惚れた女怪我させるほど俺もSじゃねえし」

「まぁ、沖田と居ればいつでも楽しいから良いアル」






ふわりと笑ったチャイナは、俺の好きな表情の一つだ。たまにだけど大人の女みたいな表情で笑ってくる。ドキドキして、やっぱりチャイナを好きなんだなって思う。

「今日、放課後一緒にゲーセンでも行くかィ?俺、暇だし」

「行くアル!」

「じゃ、直行な。着替えるのとか面倒くさいし」

「了解アル!」

飛び跳ねて喜ぶチャイナを見れば、こっちも微笑ましくなる。チャイナって、自分が思ってるより俺の事を好きだと思う。たまに見せる顔とか、二人きりの時の仕草とか。あれ、無意識だったらヤバイ。というか、絶対に無意識だ。肉まんを食べてる時に見上げてくる表情。

『食べるアルか?』

なんて聞かれた時はもうやばかった。関節キスって言うんだ。チャイナとの初めてのキス。うわ、思い出しただけで顔が赤くなってきた。最悪。

「沖田ー?大丈夫アルか?今、どっかにとんで行ってたアルよ」

「あ。あぁ。大丈夫でィ。ちょっと前にあったこと思い出しちまって」

「前にあったこと?」

「チャイナとの初めてのちゅー」

「…っそ、そんな事思い出さなくても良いアル!!」

「どうしてでィ」

「は、恥ずかしいからに決まってんダロ!」

「ふーん。チャイナさん、恥ずかしいんだ?へぇー。俺の事、そんなに好き?」

「調子のんナ!ほら、もうすぐ銀ちゃんの授業始まるアル!さっさと席に付け!」

「わーったわーった。んじゃ、放課後楽しみにしてろィ」






ニヤリと笑う表情が好き。私にだけ無てくれる笑顔が好き。私、沖田が思ってる以上に沖田の事好きなんだヨ。沖田の事、すっごく好き。だけど、たまに不安になる。

どうして名前、呼んでくれないんだろう。

付き合い始めてからそう日は経っていないけれど、出会ってからはもう随分と日は経った。名前、私は呼んでるよ。小さな声だったけど、ちゃんと名前呼んでるんだヨ?総悟って。

「チャイナー。あのユーフォーキャッチャーしねえ?あのクマの縫いぐるみ」

「むお。可愛いアル!そ……沖田取ってヨ!」

「俺、天才だから取れるぜィ。一回で取れたらちゅーな」

「ちゅーは関係ないアル!」

真っ直ぐな瞳。横顔。ムカつくけど、すっごくカッコイイ。本当、ムカつくけど!

「ほれ。取れた」

ニカリ。またそんな笑って、どれだけ私を惚れさせれば気がすむアルカ!!!

「…………」

「あーあ。チャイナはありがとうも言えねえのかよ」

ムカつくから、シャツを引っ張ってやった。むかつくから、そのまんま、ちゅーしてあげた。そっと離れる唇。名残惜しい…なんて思ってないアル!!

「ムカつくアル」

「チャイナ?」

「私、本当にお前の事好きアル。自分でもびっくりするくらい好きアル!ちゅーだって…、いっぱいしたいし、ギュってしたいアル!…そ、総悟は…。総悟はどう思ってるネ!名前だって、呼んでもらったこと無いし、ずっと不安で。でも、そんな事そんなそこら辺に居る女どもと一緒みたいで言えなくて」

クマのぬいぐるみが、私の唇に押しつけられた。

「あー。もうストップ。お前って、やっぱ今までの全部無意識だったんだな。あれで、どれほど俺を魅了してるかお前分ってるのかィ?」

ポンと頭をなでられた。クマのぬいぐるみは、私の手の中。

「俺は、ちゃんと好きでィ。それも、自分でも驚くほどにな。お前が俺を好きだって以上に、俺はお前を好き」

「じゃ、じゃあなんで名前…」

「…今までチャイナって呼んでて、いきなり名前で呼んだら、恥ずかしいだろィ。男心を察しろ」

そう言いながら、私からクマのぬいぐるみを取り上げた。そして、私の両の目を隠すようにクマのぬいぐるみの両手で覆われる。

「ちょ、何するアルか!」

「…黙ってろィ!心の準備が必要なんでィ」

手に、力が入るのを感じた。

「か……」

開いている両手で、そっとクマの両手を退ける。ゆっくりと振り向けば――…



「神楽が、好きでィ」


真っ赤な顔をした、総悟が居た。


「私もアル」












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とても素敵な企画に参加させていただいて、本当にありがとうございました!





<<乃亜>>

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