ホットケーキDARLING!
ホットケーキは私の大好物だ。もちろん酢昆布は神級に好物なのだが、ホットケーキは並級に好物なのだ。銀ちゃんが焼いてくれるホットケーキは最高に美味しい。甘い生地の上に、銀ちゃん特性の甘いイチゴジャムを乗せて食べる。前に私もホットケーキ作りに挑戦してみたのだが、ひっくり返す時に失敗したり、成功すれば今度は真っ黒焦げになったり…。銀ちゃんみたいに上手にできない。たぶん、銀ちゃんの焼くホットケーキは世界一だ!
あ。でも前に私が真選組の屯所に行った時に誰かがホットケーキを焼いてくれて…。そのホットケーキもとっても美味しかった気がする。たぶん、ジミー等辺が作ったと思うんだけど…。とにかく、そのホットケーキは口の中がとろけちゃうくらいおいしかった!
「チャイナー。腹減ってねえか?」
「サド、奢ってくれるアルか?!」
それで私は今真選組の屯所に来ているのだが、ジミーが居ないからホットケーキは食べれない。
「ばーか。作るんでィ」
「マジでか。サド、作れるアルか?」
「まぁ簡単なものだったら…。あ、ホットケーキの粉あった」
「むお!!!」
突如大きな声を出した私に、サドはビクッと体を強張らせた。
「ど、どうしたんでィ」
「私、ホットケーキ大好きアル!!!サド、ホットケーキ作って!!」
目をキラキラさせて頼んでみた。サドに、銀ちゃんやジミーが作るホットケーキみたいな味が出来るとは思わないけれど、どうしてもホットケーキが食べたかったから頼んでみた。
「いいぜィ。真選組一ホットケーキ作るのが上手い俺が特別に作ってやらァ」
「マジでか!一番アルか!」
「おう。一番でィ」
感嘆の声を漏らす私に、サドはニヤリと笑って、待ってろ。そう言った。私は、サドに言われた通り縁側に座ってホットケーキを待つ。数分してから良い匂いがして来た。こっそりと覗いてみる。
ピンクの、多分ジミーのエプロンなんだろうけど、サドがそれを着けて鼻歌を歌いながらホットケーキを作っている。これは一生に多分今日だけしか見られない貴重な姿だ!!しっかりと目に焼き付けておこう。
十分に目に焼き付けた後、私は足早に縁側に戻った。ホットケーキが楽しみで、さっきのサドみたいに鼻歌を歌いたくなってしまう。
「ふふふふふーんふふふふふーん」
「あ、チャイナが鼻歌」
「私は鼻歌じゃないアル!あ!!ホットケーキ!できたアルか?」
「おう。バターとはちみつ、どっちもつけて食べな。俺、今日の出来は結構自信ありでィ」
綺麗な円形をしたホットケーキは、黄金色で今までに見た事がないくらいおいしそうだった。ごめんね、銀ちゃん。銀ちゃんよりホットケーキ焼くのが上手な人を見つけてしまったアル。
口に入れたホットケーキは、前にジミーのホットケーキを食べた時より、銀ちゃんの焼いた甘いホットケーキより、ずっとずっと美味しかった。
「悔しいけど、ごっさ美味しいアル」
「そうだろィ。なんたって、『真選組ホットケーキ焼き大会』で見事優勝した俺だぜィ?」
「マジでか!サドすげーアル!!私、結婚するならホットケーキ作るのが上手な人って決めてるネ!」
「それはプロポーズかィ?」
「そうアル!!」
「マジでか!」
今度はサドが目をキラキラさせて私を見た。なんだか照れてしまう。
「俺も、結婚するならチャイナって決めてたんでィ!!」
「よろしくナ、ダーリン!」
「よろしくな、ハニー!!」
ホットケーキを間に、私たちはヒシッと抱き合った。なんだか何処かの漫才みたいだ。でも、とっても暖かい。ホットケーキみたいに、暖かくて、甘い匂いが沖田からした。
それをいったら、沖田に『俺はホットケーキじゃねえ』って言われて笑われた。