「引越し完了アル!!」
「あーもう、うるさいんでィ。静かに出来ねえのかよ」
幼馴染の引越しの手伝いをするために、わざわざこのクソ暑い中必死こいて家具やら何やら運んでやった。
「だいたい、引越ししてやったのは俺だろィ。て言うか、なんで俺ん家に引っ越すんでィ」
「総悟のお家が涼しいから」
ニヤリと笑う彼女は太陽に照らされどこか眩しい。いや、太陽光が眼球にもろに直射して痛い。チカチカする。眩しいのは当たり前だ!
「あ、ねえねえ総悟」
「ん?なんでィ」
「私の部屋、ちゃんとあるアルカ?」
「あ、あぁ。姉さんが使ってた部屋で良ければ貸してやらァ。その代わり、毎日綺麗にしろよ」
「イェッサー!!」
庭のホース片手に、彼女は大はしゃぎだ。俺が家具を運んでいる間、彼女は水着になって俺が小さなころ遊んでいたビニールプールに水を入れ遊んでいた。そんな事をする暇があるなら、お前の引越しの手伝いしやがれ。
まぁ、でも可愛いから許す。
「…胸がないのが痛いけど…っぃてー!!!」
「ふんっ。レディーに向かってそんな事言うからアル。お前も水浸しになってしまうヨロシ!!」
そう言うと彼女は俺の着ていたシャツに、遠慮なしに水を掛けてきた。最悪だ。服が肌に張り付いて気持ちが悪い。
「ったく、なにしやがんでィ!」
「ベーッだ!総悟ビシャビシャアル!ざまーみろ!!」
「てめ、調子に乗りやがって…。はぁ、肌に張り付いて気持ち悪…」
ひと思いに脱いでしまおう。そう思ってシャツを脱いだ。
「…!!そ、総悟!!いきなり脱ぐな!!」
「なんでィ。別に良いだろィ。小さい時に一緒に風呂とか入ってたじゃねーか」
「あ、ああああれは小さい時だからアル!そ、それにまだお前も全然筋肉とかそんなんなかったネ!は、早く着ろ!」
「しょうがねえーな。……ほら、これで良いんだろィ」
「…ヨロシ」
やっぱりベタベタする。早く中に入って着替えよう。
「俺中に入るけど、神楽どうする?」
「私も中に入るアル!ね、アイス食べたい!」
「食うことしか頭ん中にねえのかよ」
「たーべーたーい!!」
「分かったから。あ、そうだ。今日の昼から俺の友達…えっとほら、土方が遊びに来るから」
「トッシー!!」
目をキラキラさせながら土方の愛称(?)を言う彼女。何土方の名前聞いたぐらいで目輝かせてるんでィ。
「私トッシー大好きアル!!」
「仮にも彼氏の前で浮気宣言かィ」
「総悟の好きとは違う好きアル!!」
あぁ、言い忘れてた。
俺と神楽、付き合って3年の(他称)バカップルなんで。
そこんとこ、よろしく。
ドタドタと中へ入っていく神楽に、今後の生活は俺にとってとても辛いものになるだろうと思った。
何がって?
理性を保つのに!!!