原作未来夫婦+子ども
※ゆいさんに頂いた絵を飾らせていただきました!



















カーカーカーカー・・・


真っ黒なカラスが空の上を通り過ぎて行った。もうすでに日は傾きかけているのだが、ここ歌舞伎町はその時間帯に動き始める。もっとも、盛んに動くのは深夜なのだが…。

「ただいまー」

「お帰りなさーい」

パタパタとスリッパの音を立てて、小走りで駆け寄ってきた愛する妻である神楽にヒシッと抱きつく。これは、昔からしてきた俺たちの愛情表現だ。

「パピー!お帰りなさーい!!」

「お帰りなさい、パパ」

「おうただいま。総楽、神悟」

神楽から離れて、子どもたちの頭を撫でた。神楽がムスッとした表情でこちらを恨めしそうに見ていたので、笑いながら神楽の頭も撫でてやる。

「そんなムスッとした顔すんなよな。お前にだってちゃんとしてあげただろィ」

「マミー笑ってた方がかぁーいいよ!総楽、マミーの笑った顔大好き!!」

「うん。ありがとうね、総楽。さ、パパも帰ってきたし、ご飯にするアル!!!」

「今日はね、パパのお誕生日だからね、えっとね、とーってもいっぱいご馳走があるんだよ!!!」

「そうっか、そういや今日はパパの誕生日だったねィ。神悟と総楽も覚えててくれたんだ?」

「うん!!マミーがね、朝からパピーがお仕事行った後に一生懸命用意してたんだよ!だからね、今日はたーくさん良いモノがあるの!!」

「へーそうかィ。んじゃあいっぱい食べないといけないねィ。総楽も神悟も楽しみだったろ?」

「うん!ママのご飯美味しいからね、いっぱい食べても大丈夫なんだよ!ケーキも作ってたし、早く食べたいね!!」

ニコニコ笑う神悟に、自然と頬が緩む。今日はやけに土方さんが俺に対しての態度が甘いと思ったら、誕生日だったのだ。近藤さんはやけに笑いながら俺を見てくるし、隊士どもはそれこそ恨めしそうに見ていたので、何かあるとは思っていたが・・・。

リビングに入ると、そこはもうパーティー会場のように飾ってあった。壁には『パパおたんじょうびおめでとう!』という文字が並んであって、やっと文字を書き始めた子どもたちが、一生懸命書いたのが分かるぶん、更に嬉しい。

「ほらー、ちゃんと座って!銀ちゃんが買ってくれたお箸もってるアルか?神悟!トシおじちゃんから貰ったコップは?!」

子どもが小さいこともあってか、二人を席に付けるのには長い時間がかかる。それもやんちゃ盛りだ。あちらこちらに行っては神楽を困らせているのは一目瞭然。というか、旦那と土方さんはいつの間に箸とコップを買ってあげたんだよ。

やっとのことで二人を座らせて食事を始めた。ワイワイ騒ぎながら食事をするのはとても楽しい。屯所の食堂はむさい男共でいっぱいに溢れかえっているから、神楽や子どもたちがいる家での食事はとてつもなく美味い。

「食べ終わったらケーキ食べるアルよ?だから、あんまり無理して食べなくて良いからね」

総楽の口もとについたケチャップをぬぐいながら神楽は言った。

「でも、ママのつくったご飯美味しいんだもん!いっぱい食べれるよ!!うーん。でもね、ケーキも食べたいから、あんまり食べない!!」

「総楽もうちょっと食べる!!」

「程ほどにするアルよ?あ、総悟鬼嫁買って来たけど、飲むでしょ?」

「あ、あぁ。神楽も飲むかィ?」

「私は遠慮するアル。じゃあケーキと鬼嫁もってくるから待っててね」

いつの日からか今のように柔らかく笑えるようになって、俺を置いて二人の親をしていて。仕事があるからと俺は逃げていた時もあったけど、神楽は何にも言わないでただ俺たちのために家事をしてくれて。

神楽が向かって行ったキッチンの方へ、俺も足を進めた。皿の上にあるケーキを切り分けているようだった。神楽の手作りケーキは、本当に美味しい。前に近藤さんの誕生日会の時にも、神楽はケーキを作って屯所へ来た。その時は隊士どもから神楽を遠ざけるのにいっぱいいっぱいだったが…。

「かーぐら」

「うわっ!!そ、総悟?どうしたアルか?」

「なんとなく。あー…やーらけーな」

「もう昔と違って大人の女になったアル」

「そうだな。もう大人だもんな」

額同士をくっつけて、神楽を見つめた。肌はスベスベで、昔誰かが女は子どもを産めば女として見られないとか言ってたけど、あれはきっと嘘だ。神楽はいつまでも俺にとっては女で、大事な家族で、奥さんだ。

「マミー!抱っこしてー!」

大きな声を出して総楽が神楽に飛びついた。笑って神楽は受け止める。

「あー!ずるいー!!パパ、神悟おんぶ!!!」

流石夜兎の血を引いてるとあってか、素晴らしいジャンプ力で俺の背中に飛びついてくる。あーあ。せっかく上手くいけば神楽とちゅー出来るかと思ったのに。

あ、でもそっか。別に子どもが居るからってちゅーしちゃいけないって事はないし、だとしたら抱っことおんぶしたままでのちゅーもいいじゃねーか。ちゅーしちゃえばいいんでィ。

「神楽…」

「ん?何アルか、そう…!!!!」


んちゅ!


「わー!パパたちちゅーしてる!!!」

小さな柔らかさが、そこにあった。






って、ちゅーしてんの神楽じゃねーじゃん!!




ゆいさんから頂きました!
可愛い沖神+子ありがとうございます!!



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