今日は、高校の卒業式だった。俺達は卒業式が終わった後、すぐさま女子生徒に囲まれた。理由はそう、第二ボタンだ。

男子から第二ボタンを貰うのは王道である。しかし、今年の卒業式はまた違ったものだった。


「先輩!あの……。」

「ん?何アルカ?」



寄って来たのは一人の男。どう見ても、チャイナに気があるのは確かだ。

俺はその二人をただジッと見つめていた。



「先輩、第二ボタンを…俺に下さい!!」



あれ?第二ボタンって、女が好きな男に寄ってたかって貰おうとするやつだろィ?

あ、今時は逆チョコがあるくらいだから第二ボタンも逆ってか?

あーぁ、チャイナにいたっては顔染めてるし………。なんだか知らないがイライラする。

俺の知らないチャイナを、別の男が知ってるって事に。

俺は、その光景を見てはおられず、俺の周りに居た女共を全て無視をし、チャイナのもとへ向かった。



「おい。糞チャイナ。」

「えっ、サド?どうしたアルカ?」



俺は、チャイナの質問に答える前に相手の男を一睨みしてチャイナに答えた。



「いや、周り見てたらチビな馬鹿が居ると思ってねィ。」

「チビな馬鹿ってどういう事アルカァァァア!!!」



俺は、それからもチャイナいじりをして、男が入る隙間がないと見せ付けるかのように言い合いを続けた。

物凄く、悲痛な顔をしている。いい気味だ。俺とチャイナの間に入りこむなんざ、100年じゃあ足りないくらいだ。

ちょっと待て。俺とチャイナ?これじゃあまるで……。



「おい。サドヤロー。どうしてくれるアルカ。帰って行っちゃったじゃねえかヨ。」

「ありがたく思え、糞チャイナ。」

「何にだヨ!!」




そう言って、プンすか怒っているチャイナをこちらに引き寄せて、チャイナの第二ボタンを引きちぎった。




「な、何してるアルカ!!!ボタンちぎれちゃったアル!」

「それでいいんでさァ。ほら。」

「何アルカ?コレ……。ボタン?」

「俺の第二ボタンはプレミアもんでさァ。大事にとっときなせィ。」




そう言うと、チャイナは意味を察したのか、顔をさきほど以上に赤らめた。

うん。この赤らみを知っているのは、俺だけと言う事にしよう。

だって、俺だけじゃん。さっき以上に赤らめて、下を向いてるけれど、耳が真っ赤。ここまでチャイナが照れているのを知っているのは俺だけ。



「真っ赤でさァ。」

「暑いだけアル。」

「嘘つけ。」



だってほら、こんなにも暖かいじゃないか。





木漏れ日は優しく



(僕らを優しく包んだ)






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