溢れる時間の渦





離れたくないと言って、沖田は私を抱きしめた。段々と抱きしめる力が強くなる腕。耐えることが出来ず、嗚咽をこぼしながら私に縋りつく。


「…いや…だ」
「お前だけは、俺を置いてかないでくれ…」


そんなこと言われたって、私を引き止める権利なんてお前にはない。私を置いて行ったのはお前の方なのだから。


「…せいぜい私の事を思い出しながら一人ぼっちで泣いてりゃいいアル。…ザマーミロ、ヨ」


だから、私がお前を守るのも私の勝手。それを止める権利はお前にもないし、他の誰にもない。


「かぐ…、すきだ。好きだ、だから俺を…」


今まで好き勝手やってきたくせに。私の話なんか聞かないで、一人でどこかに行っちゃって。そのくせ私を束縛するなんて。だから最期の我儘くらい聞いてよ。


「私との時間…忘れんなヨ。クソサド」






(もう二度と会えない貴方との)


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