付き合って、どのくらい経ったんだろう。
最近では総悟が他の女の子と話していても全く気にならないし、別にどうでもよく思っている。
本当に好きなのかと問われれば、即答はできないかもしれない。
しかも、付き合ったきっかけって一体何だったんだろう。とか、そんな感じ。
成り行きとか、たぶんそう言うものだった気がする。
なんとなく、『好きだ』って言ってた。…総悟が。
ここも曖昧。
「なーんだ。曖昧が多いアルな…。てゆうか、これ私別れた方がいいんじゃね?もっとカッコいい男見つけた方が良くネ?」
「うーん神楽ちゃん?先生今忙しいんだよね?分かる?うん。分かってるよ。お前が頭悪ィ事くらい先生ちゃんと分かってるよ?だけどさ、そう言う話は俺の前でしないでくれる?」
「えーだって私先生の事好きアルー」
「マジで?でも先生もう心に決めたお相手が居るんだよね」
「マジでか!!どんな人アルか!」
「めちゃくちゃ綺麗な人。ほら、松嶋●々子みたいな」
「松●菜々子アルか!!すっげーアル!!」
「ほら、もういいだろ?さっさと彼氏のトコ戻ってやれよな」
「だって最近総悟と居ても面白くないアル。他の女の子と居るし、別に寂しくなんてないだろうから。ま、私も寂しくないから良いけど。ジミーあたりを次のターゲットにするアル!!」
「山崎…死んだな」
「何か言ったアルか」
「いーや。というか、お前の彼氏は、お前が思ってるほど悪い奴じゃねーよ?まぁ、精々頑張るこった」
「ふーん。じゃあ先生。また明日!!!」
「おう。喧嘩すんなよー」
先生と話せて本当楽しかった。
松嶋菜●子か…。逢ってみたい気もする。だってあの先生の彼女。きっと美人さんに違いない!!
362の教室。この教室は、進学生クラス。私も、総悟もこのクラスだ。二人とも同じ四年制大学。
「…進路変更しようかな…」
「どこにでィ」
「ぬお!…総悟アルか。…あれ?今日は女の子いないネ?」
「勝手に付いて来るだけでィ。俺が頼んだわけでもねえよ」
「ふーん。まぁ、どうでもいいヨ。…あ、私もう帰るアル…って、オイ。私の鞄返せヨ」
「神楽…。俺の事嫌い…とか?」
「は?」
「他の女と一緒に居ても最近じゃ何にも言わなくなったし。学校でもあんまりしゃべんねーし。休みの時も会っても2回くらいだろィ?今だって一人で帰ろうとするし…」
「まぁ…。もしかしたら好きじゃないのかもしれないアル。嫉妬とかも、そういうのないし、総悟が他の女の子と一緒に居てもなんにも思わないネ」
「……………」
「正直言って、今の総悟と一緒に居ても楽しくないアル。よっぽどジミーと一緒に居た方がましネ。だって総悟、私と居ても何にも話さないんだもん」
うわ、今まで溜まってた事全部言った気分。
私がスッキリした半面、総悟はとても悲しそうに表情を歪めた。あぁ、なんでそんな悲しそうな顔をするかな…。
「いきなりだけど、さ。…ちょっと距離置こうヨ。私、総悟と本当に付き合ってるのか分からなくなってきたネ」
酷い言い方だなって思った。でも、本当に分らなくなったんだ。いつも私じゃない子を隣に置いている総悟に。自分の気持ちに。
有無を言わせぬように私は鞄を置いて教室から立ち去った。
あぁ、もう。
面倒くさいな。