悪魔の申し子マーラ様よりリクエスト。
学パロで沖神が出来ちゃた結婚。クラスの皆の助けを借りながら、子供の世話しつつ授業を受ける沖神。授乳の際は神楽にムラムラしつつ他の野郎に見られないように睨みを効かせる沖田。
神楽の妊娠が発覚して8カ月と10日。少し早目の出産となったが、まぁここまではごく普通の妊娠から出産であろう。ただ他と少し違うのは、神楽と、その出産した子の父親が学生であったという事だけだ。
神楽の場合は、出産後の体調が良好になるまで休学、及び子どもの世話をしなければならないという事だった。なんとも簡単な学校である。
最近は体調もだんだんと優れ、今日から学校に行こうとしていたのだ。
「神楽、本当に大丈夫なのかィ?て言うか、行くのはいいけど……悠斗、どうするんでさァ」
今、神楽に話しかけたこの男。名前は沖田総悟という。勿論神楽の旦那であり父親だ。ちなみに、18歳。
神楽は元々一人暮らしであったが、妊娠が発覚した後すぐに総悟と籍を入れ、総悟の家に越して来たのである。
「それだったら大丈夫アル。銀ちゃんが学校に連れてきても良いって!」
「ふーん。学校側も何にも言って来ねーし。別にいっか。じゃあ、悠斗連れて玄関で待ってらァ」
「サンキュー総悟」
「へーへー」
何とも不思議な会話をしながら、総悟は悠斗を連れて玄関へ歩いて行った。
「あ、銀ちゃんに連絡しないと」
朝からの母乳はしっかりと与えたし、目を瞑りながらミルクを飲む悠斗は可愛い。そう思いながら神楽は制服に久しぶりに腕を通した。
* * *
「あら!神楽ちゃんじゃない!もう大丈夫なの?体の調子は?悠斗君、元気にしてるのかしら?」
微笑みながら神楽を抱きしめる、同級生の妙。
「姐御!お久しぶりネ!体調はもう完全復活アル!!悠斗も元気!!」
「良かったわ。最近沖田さんの機嫌がすこぶる悪くって。でも、神楽ちゃんが来たんだし、もう大丈夫ね!」
「あ、あのネ…「神楽ァー。悠斗どうする?銀八んとこ預けるかィ?」
教室に入るなり、クラス中の皆が総悟に視線を向けた。いや、正確に言えば、総悟腕の中で静かに眠る悠斗にだ。
「…今日からしばらく学校に連れてくる事にしたアル。銀ちゃんも良いって言ったし」
にっこり笑う神楽はそれはもう天使だ。周りに居る男子は勿論、女子までもを魅了する笑顔に、クラス中は久しぶりに和んだ。
「神楽ちゃん!!!」
神楽の名を呼んだ黒髪の少女。隣クラスの徳川そよだ。
「そよちゃん!!」
お互いに駆け寄ると、神楽はそよに抱きついて久しぶりの再開に心を震わせた。
「神楽ちゃん、悠斗君を連れてきたって、本当ですか?」
「そうアル!総悟、こっちに来てヨ!」
少々ムスくれながらも、総悟は神楽に近寄った。そして、悠斗を優しく神楽に渡す。
「うわー。とっても可愛いです!お顔は神楽ちゃん似ですね!でもおでこは沖田さんに似ています」
「今は眠っちゃってるけど、目は総悟の色アル。ごっさ可愛いダロ!」
「はい!とっても!…あら、もうすぐショートの時間ですね。それじゃあまた今度遊びに行きます」
「うん!バイバイ、そよちゃん!!」
神楽は終始笑顔でそよを見送った。そして、小さく寝息を立てる悠斗を眺める。顔は神楽に似ているところが多いが、総悟にも似ているところを神楽はたくさん知っていた。
「総悟」
「なんでィ」
「爪の形は、総悟似アルな。小さいけど、ちゃんとした形してるネ」
「人間だからな。あと、鼻の形も弱冠俺似なんじゃねーのかィ?」
「えー、私に似てるアル」
「額の広さはお互いだろうなァ」
「やっぱり私の子供は可愛いアル」
「何言ってるんでィ。俺の子でさァ」
いいや私の。いや俺の。なんて喧嘩をしているうちに、ショートの時間が来たのか、銀八が教室へ入ってきた。
「あ!銀ちゃん!!おはようアル!!」
「おぉ、神楽じゃねーの。久しぶりだなオイ」
「悠斗、連れてきたヨ!」
「へー。初めて見たけど、ちっこいのな。鼻は沖田君似かねぇ」
「やっぱり銀八は分かる人だと思ってやした」
「せめて先生は付けようね、沖田君」
久しぶりの会話に、神楽は胸が暖かくなるのを感じた。それもこれも、総悟と悠斗が神楽のそばに居てくれるからだ。
『じゃあショート初めっぞ。……はい、ショート終わりィー』
なんて言葉を銀八がかけた所で、クラスの皆は一斉に神楽の机へ群がった。
あたかも、押しつぶさん勢いで群がってくるため、しまいには悠斗は起きて泣きだす始末。優しくあやす神楽を見かねたのか、総悟が立ちあがって神楽の周りからクラスの皆を離れさせた。
何だかんだ言って、とても優しいのだ。
「…うー…。泣きやまないアルなァ…。あ!もしかしたらお腹がすいたのかもしれないアル!!!」
「だったら、ノートは私が取っているから、神楽ちゃんは母乳を飲ませてあげるといいわ。沖田さんも、授乳中に腐れ男子共が盗み見しているかもしれないから、しっかり見張っていなさい?」
「…姐さん、いいんですかィ?」
「えぇ、勿論よ」
「ありがとうございやす」
「どういたしまして」
ニコリと微笑む妙に、神楽はノートを渡した。
それからはもう何もかもが大変だった。
母乳を与える神楽を一目見ようと後ろを振り向く男子に、総悟が片っ端から殴りに行き、やっと見なくなったと思ったら外で体育をしていた多クラスの男子が窓からそれを覗きこむ。
「ふざけんな!!俺だって見たくて見たくて仕様がねえのに、どうして他の男が見てるんでさァ!!!」
…なんて言えるはずもなく。学校が終わったら即家に直行。その後は……。
まぁ、皆様のご想像通りの結果である。
これが毎日続くのかと考えたら、気の遠くなるような衝動に駆られる、総悟だった。
愛優心誘