真選組が死戦に行くそうだ。

そう聞いたのは、私が朝起きて歯磨きをしてから銀ちゃんのいる居間へと足を運んだ時だった。

頭が真っ白になるとは、こういう事なんだろう。アイツが、沖田がこの前公園で私に言った好き≠ヘ、たぶん本当の事なんだろうな。なんて、今さらながらに思い出して、今さらながらに嬉しくなった。

でも、現実に突き付けられた真実は重くて苦しくて、本当は立って居られないくらい悲しかった。

なんで、そんなこと言うんだヨ。

私は沖田にひどい事を言った。好きだって。そう言ってくれたお前にひどい事を言ったんだ。

押し入れに戻って泣くなんて暇なかった。いち早く沖田に会いたかった。今すぐにでも好きだ。愛してる。だから、行かないで。って、言いたい。…なのに。

「足が、震えちゃってるネ…」

本当に、私って不意打ちとかに弱いんだなぁ…。

玄関にうずくまった。本当はこんな事してる暇なんてないのに。

自然と頬を落ちる涙を、袖で一生懸命拭った。こんな跡、銀ちゃんや沖田に見られたら一生の恥だ。こんな時まで、自分のプライドの事を考えている私って、どうかしてるのかな?

それとも、ただ、沖田に心配させたくないからだけかもしれない。

死戦に行く彼に。

最期の私からの贈り物として。

いつまでもうずくまっていた。考えて考えて、玄関の戸が開いたのにも気づかなかった。まさか、顔をあげたら―――…




―――…笑っている彼がいたなんて。





まるで夢を見ているような

だから、絶対に帰ってきて。



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