「好きだァァァァア!!!!」

屋上で、しかも昼休みという超開放的な時間に奴は叫んだ。

箸で挟んでいたタコ様ウインナーが地面へと落下した。あーあ。今日のタコ様の足は10本にしていたのに。台無しだ。

特に興奮するでもなく至って冷静でいられた私は、泣く泣く驚異の10本足タコ様をお弁当箱へ収納した。

いくら食い意地が張っていても、落ちたものまで拾って食べるという非常な事はしない。

「あ。……タコ様を落としたって事は、少なからず動揺してるアルカ?私…」

「…さァ?動揺してんじゃねーの?ほら、箸持つ手、震えてるし」

「本当アル。…うわ、鳥肌まで立ってるネ」

「ていうか、結構ショックな事じゃね?彼女に好きって言ったのに、当の本人には鳥肌立てられるって」

「…相当気持ちが悪かったんじゃないかと私は分析しておりますアル!」

「テメー。俺が硝子のハートの持ち主だって事忘れてるだろィ」

「忘れてないヨ?」

「このSが」

「お前の方がSアル」

残りのお弁当のおかずに手を付けた。金色に輝くダシ巻き卵は、私の得意料理だ。

「いいなー。卵焼き」

「自分で作るヨロシ」

まるで子犬のような瞳で見つめてくる沖田は、可愛い…なんて思ってねーヨ!ばーか!

ちぇっ。そう言いながら私の隣に当たり前のようにしゃがみ込んだ沖田。片手にはメロンパン。

「…また弁当ないアルカ?」

「だって俺作れねーし。姉ちゃんも今入院中だろィ。夜は近藤さんが『男の料理だァァァ!!』なんて言いながらちゃんこ鍋作ってくれてるからまだ良いけど」

「…はぁ。しょうがないアルな…。明日から、お弁当一緒に作ってこようか?」

「マジで?いいの?え、じゃあさ、リクエストしていいかィ?」

「今日だけアル」

「オムライスに、『総悟好き』って描いてくれィ。俺、幸せすぎて死んじまうかもしれねーや」

はにかむ総悟。

「…しょうがないアルなァ…。明日だけヨ。あとはわたしと一緒の弁当アル」

「ッシャァ!!サンキュー神楽!!」

ボッ!!と顔を染めたのは神楽だったとかそうじゃないとか…。




沖田総悟、
     精一杯の告白


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