「眼鏡が浮いてるアル」
「眼鏡じゃねェェェエ!!!!!」
「ぬおっ。人間…っぽいアルな。ここはどこアルか?」
眼鏡は、咳払いをして偉そうに胸を張って言った。
「ここは宮殿だよ。女王様が先ほど戻られたんだ」
「どこからアルか?」
眼鏡は一瞬顔を曇らせて言った。
「色なしの国だよ。僕の友達も付き添いで行ったんだ。銀さんって言うんだけどね」
「銀?…まぁいいアル。というより、その女王ってのは今宮殿の中に居るアルか?」
「居ると思うよ。えっと……君は…」
「神楽アル」
「神楽ちゃんか。神楽ちゃんは、女王様に会いたいの?」
「そうアル。姐御に頼まれたネ。この国の色を返して欲しいって」
「姐御?」
「そうアル」
「その姐御っていうと…?」
「志村妙アル。お前の姉ちゃんネ」
「た、妙?!!」
いきなり血相を変えた眼鏡。あぁ、いつもの事か。
「姉上がどうしてまた!!」
「色を返してほしい言ってたネ」
「欲しいもなにも、姉上はもともとから色は持ってないはずだよ!」
「マジでか!じゃあ新八はどうして色を持ってるネ!!!」
「え、どうして僕の名前…」
「それは俺が説明しやしょう」
「ウサギさん!!!」
ニヤリと笑った沖田。
やっぱり大きかった。それじゃあ今まで身長が同じだった新八は?
「僕もミロを飲んで小さくなったんだよ」
「人の心の中を読むナ」
一発新八…もとい眼鏡を殴ってやった。
ウサギさんは、なにかつまらなさそうな目で私たちを見ていた。