「姐御?!」
「お前は誰だ!」
姐御は何かを手に持っているみたいだ。でもそれが何なのか分らない。
それにしても…。
たぶん、ここが沖田が…あれ?あれはウサギさんといった方が良いのかな。
「か、神楽って言いますヨ」
「神楽か…。どうして神楽は色を持っているの?!」
「いろ?…そうアル!!ここすっごく真っ暗アル!姐御も真っ暗ネ!!」
「私たちはこの国の女王に色を抜かれたの。だから真っ黒。空も、山も何もかも」
「マジでか!だったら私がその女王から色を奪い返してあげるネ!」
「本当?……神楽ちゃん、だったわね。だったら、お願いしようかしら…」
先ほどとは打って変わって嬉しそうな姐御。
「まかせるヨロシ!!!!ぬおっ!!!!」
ドンと胸を張ってみた次の瞬間、私の体はブワッと浮いて、いつの間にか姐御は小さくなって見えなくなった。
「よーし。まず第一関門突破。次は…あぁ、あっちか」
声が聞こえたので声の発生者を見る。
「お、沖田!!!」
「なんでィ。これで作戦は順調でィ」
「作戦って何アルか!?」
「ん?…あぁ。俺たちの色を取り戻してもらうための作戦」
「おお!そうだったアルな!どうりでお前も真っ白だったネ」
「つーか、好き勝手俺の名前呼んでるけどさ。アンタに会うの初めてなんだから気安く呼ぶな」
「んだとゴルァ!!」
「ちょ、暴れんな!!」
「ぇ、う…ウギャァァァァア!!!!」
いつの間にか沖田の手から落ちて、私はまた知らぬ水底へと落ちて行った。
「あーぁ。だから言わんこっちゃない」
「ゲホッ!!!!」
「おお。起きたか」
目が覚めるとそこにいたのは、コーヒーカップを片手にそれを飲んでいたトッシーだった。
「トッシー!!!!」
「おい、零れるだろうが」
「すまないかったネ」
「ほら。これ飲むか?」
「いらないアル。私コーヒー飲めないんだよね」
「標準語…て言うか。お前誰だっけ」
「神楽アル」
「ほぉー。…じゃあほら、ミロ。これなら飲めるだろ?」
「ミロ大好きアル!!!」
一気にそれを飲み干す。
「飲んだな?」
「?飲んだアルよ?」
しめたとばかりに笑うトッシー。
あれ・・・?
「トッシー?何時の間に背がおっきくなったアルか?」
「ばーか。お前が小さくなったんだよ」
「な…。何だとォォォォオ!!!!!」
上空から見ていた沖田。…もといウサギさん。
「あーぁ。ちっさくなってやんの」
呆れたようにその状況を見ていたのであった。