寒さに、目を覚ました。
朝起きて、携帯を見た。
昨日の記憶が蘇る。
『明日、学校一緒に行かね?』
つまり、今日、一緒に学校へ行かないか?という誘い。
しかも、沖田からだ。
「緊張して、ドキドキが聞こえちゃうかもしれないアル…。」
だって、ただえさえ今でも心臓の音がドクドクと、煩いのに。
こんな心臓で沖田の隣なんか歩けないよ。
「でも、起きなくちゃいけないネ!」
たまに、街で見かけたときに、よく手をつないで歩くカップルを見たことがある。
この前二人で遊びに行った時も、見た。
手は繋いでないけれど、あれは『デート』だ。
沖田はそう言ってくれた。
本当にうれしかった。
でも、他の子にもそう言ってたら?
さっきまでは、ドキドキだったのに、そんなことを考えたら、今度は胸がキュゥって痛くなった。
恋ってこんなに痛いんだ。
また一つ、恋を知った。
「あ、大変アル…。もう行かなきゃネ。」
ベッドから降りて、キッチンに行く。
弁当を作って、制服に着替えてから、髪を整える。
よし、これでいつもの神楽の出来上がり。
どこからどうみても、普通の神楽だよね?
恋をしてるなんて、わからないよね?
あぁ、もう家を出る時間だ。
ガチャ…
そっと玄関を開ける。
「あ、神楽!」
「あ、その、おはよう…アル。沖田?」
「はよ。」
待っていてくれた。
こんなに寒い季節の中、鼻を赤くしてくれて、沖田は待っていてくれた。
うれしい。
本当に、うれしい。
「学校、行くかィ?」
「はい…デス。」
「なんでィ、その言い方。」
大きな声で笑い始めた沖田に、心臓は炎上だ。
だって、すごく綺麗に笑ってるから。
昨日より、朝より、もっともっと、
好きになってしまった。