家に帰って、さっそく携帯を開いた。
画面には、新着メール1件、と書いてある。
送信者はなんとなく分かっていたのだが、メールボックスを開いて早めに返信。
案の定、そこにあったのは沖田からのメールだった。
内容は、いたってシンプルなものだった。
『明日、学校一緒に行かね?』
絵文字もなにもないメールだけど、本当にうれしかった。
そして、不と、友人の言葉を思い出す。
『好きな人…』
言えなかった。
でも、分っている友達のことだ。
私が沖田を好きな事なんて、見てすぐに分かっただろう。
沖田からのメールに、私はイエスと答える。
私は、沖田が好き。
でも沖田は?
かっこいい、沖田の事だ。
彼女の一人や二人、いや、三人や四人はいるのかもしれない。
そう考えたら、いくらポジティブに考えようとしてもネガティブ思考になってしまう。
自分は、こんなにも恋というものに脆かっただろうか。
いや、分らない。
本当は、この気持ちが恋だなんて信じられない。
世の中の女の子たちは、こんなにもドキドキをしながら恋≠ニ言うものを追っているのか。
私は、自分でも、自分の事を強い。そう思っている。
小さな頃、まだ、家族が仲の良かった頃に、兄が武道というものを教えてくれたから。
でも、そんな私は恋に脆い訳で…、
世の中の女の子たちには多分敵わないだろうな…。そう思った。
だって、私は毎日こんなにもドキドキしっぱなしで、耐えられないから。
勝ち組負け組と言うが、そのドキドキを耐えて想いを勝ち取るのが勝ち組だから、負け組と言われてもおかしくない。
なぜか、自分を負け組として扱っている時点で、ネガティブなのだから、いつまでたっても負け組のままだった。
でも…
ブーブーっと、携帯のバイブが鳴る。
『じゃあ、また明日な』
でも、そんな短な文であっても、嬉しいと心からおもうのだから、恋って本当にすごいと思う。