「こんなことも分からないのか、バカ」
「なっ…!?」
名前宅にて。いわゆるおうちデート中のこと。
ふと、気になったことをシンに聞いてみた。
その応えがこれだ。
「っ、バカってひどい!トーマにも言われたことないのに!」
「おっまえ、ネタが古いんだよ。てか、トーマがお前にそんなこと言うわけないだろうが。考えればわかんだろ、バカ」
どこかで聞いたことのある台詞まで聞こえるが、問題はそこじゃない。
再び聞こえた言葉に、名前が頬を膨らませる。
「またバカって言った!もうっ、シンなんか…!」
「──っ!?」
あっ。
シンなんか──言ってしまったものの、続く言葉が浮かばない。
大嫌い、なんて嘘でも言えない。落ち込むシンが目に浮かんでしまう。
しまった、嫌われた!!?ど、どうする、俺…っ。
見た目以上に心は大荒れで、鼓動が速くなる。
名前に大嫌い、なんて言われたら……………立ち直れない。
「………今日はメロンソーダ出してあげないんだから!」
「───はぁ?!」
沈黙に耐え切れず、考えた末に出したのがこれ。
これにはシンも声が出ないようで、呆気にとられた表情で名前を見つめるしかなかった。
ハートに立腹
「…お前、バカ?」
「あぁっ!また言った!」
シンは肉食系ヘタレツンだと信じてる。
← ○