眠れない、眠り姫。
夜も10時を回る頃。
今にも眠りそうな名前に声をかけて、立ち上がらせた。
部屋の前、分かれて隣の部屋を開けるはずの君に振り向いて声をかける。
「おやすみ」
「…」
少し俯いて、僕の腕を軽く掴む。
いつもと違う様子に、首を傾げてしまう。
いつもの君だったら…どれだけ眠くたって、おやすみ、って返してくれるのに…。
「…名前、どうしたの?」
尋ねると、短い沈黙。
少しだけ眉を寄せるのが分かったら、すぐ聞こえた君の声。
「…分かん、ない…けど…」
最近、よく眠れなくて…
そういえば、最近、眠そうにしてるときが多かったっけ…。
…今も、そうだよね。
でも、どうして…?
だいぶ前に、夢見が悪いって言っていたことはあったけど。
最近は、全然そんなことないみたいだったし…。
そんなことを考えていると、ふと、気がついた。
肩を縮こまらせて、困ったような表情をみせる。
…もしかして、
冬も近づくこの頃。
あまり気になっていなかったけど…いつのまにか、凄く寒くなっていた。
「…ね、名前、寒い?」
「…今は、大丈夫」
ただ…部屋は、ちょっと寒いかな。
あたり。
意外に簡単に分かった原因に、小さく笑って。
それから、名前に誘いを投げかける。
「寒いんだったら、一緒に寝る?」
「ん…いいよ、別に」
周助、一人の方が楽でしょ?
眠そうに目を擦りながら、そう言った名前。
自分が大変な思いをしてるのに、僕を気遣って…でも、
「…分かってないなぁ、名前」
「ん?」
「本当は、僕が一緒に寝たいんだけど?」
「……いいよ、」
周助が、あっためてくれるなら…。
驚くのか、恥ずかしがるのか。
そんな反応も考えながら、笑って告げた。
だけど、返ってきたのは予想外の返事で…結果、僕の方が驚いた。
名前があまりにも可愛いこと言うものだから…自然と笑みが零れるのが止められない。
もちろん、
最後の言葉に、そのままの笑みで応えて。
それから、今にも眠りそうな君を抱きしめて横になる。
「…寒くはない?」
「うん、あったかい…」
少しだけ笑みが表れたのにほっとして、もう一度。
「…おやすみ、名前」
「おや、す…み……」
幸せそうに眠った名前を、また優しく抱き寄せて、想う。
…ねぇ、名前。
眠れない夜は、僕を頼って…?
僕が君になにをしてあげられるかなんて分からないけど…。
眠れるように、ずっと傍にいてあげるから───
夢小説製薬企画の提出作品です。
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