同じ想いを、君と



── ねぇ、人を好きになるって…どういうこと?


「…名前?」

隣に座る友人に声をかけられて、顔を向ける。
見つめていた視線の先には、テニスコートと…大好きな彼。

「本当、大人気だよねぇ…名前の彼氏は」

そう。
青学テニス部でレギュラーの不二先輩。
まだ日は浅いけど、とっても優しくてカッコいい…私の彼氏。

…ただ。
慣れない照れから、どうしても頬が火照ってしまう。


「あ、休憩かな?」

友人の声に反応して、ふと、テニスコートの方に視線を向ける。
すると、部員たちと楽しそうに話しながらこちらにくる不二先輩が見えた。

こっちで休憩するのかな?
邪魔にならないところにいかなくちゃ。

そう思って立ち上がると、不二先輩と目が合った。
そうすれば、綺麗な笑みを浮かべて声をかけてくれる。

「名前」

…名前を呼ばれただけで、こんなにもドキドキする。
ううん…その声が聴こえるだけで、どうしようもなく胸が熱くなる。

「…どうしたの?」

あたふたしていたであろう私を不思議に思ったのだろう…不二先輩が尋ねてくれる。
でも、そんな…あんな、こと、言えない…から。

「…あ、いえ!」

なんでも、ないです…。

咄嗟に俯かせてしまった顔をあげ、必死に否定する。

…きっと。
今の私は、恥ずかしさとか…色々から、真っ赤なんだろうなぁ…。

ふぅ、と小さく息を吐いたのも束の間。

「…そう、それならよかった…」

安心したように笑う先輩に、また私の心は大きく高鳴っていく。


暫く。
鼓動を抑えることに精一杯だった私。
そんな私を友人が呼び戻すのは…もう何度目だろう。

…本当、慣れないなぁ…。
もっと経ったら、いつか…慣れてくるのもなのかなぁ…なんて…──

「…名前、名前っ!」
「え、あ!な、なに…!!?」

慌てて返事をすると、呆れた表情の友人。
追って目をやれば、苦笑いの先輩。
状況が分からなくて、ただ疑問符を浮かべるだけの私だけど…また。
私を助けてくれるのは、不二先輩。

「…そろそろ練習に戻るね」

そう言って、また綺麗な笑顔。

…また。
思うように言葉が出なくて…。

だけど、これだけは…──

「あ、あの!不二先輩…」

なに、と優しく尋ねるように少し首を傾げて、私の言葉を待つ。

「応援、してますから…」

『緊張』というには、苦しすぎる。
『恥ずかしい』んじゃない…嬉しいんだ。

「ありがとう」

そう言って、また私を見てくれる先輩。
その優しい微笑みが私に向けられることが。


…本当、この人は私をどれだけドキドキさせるんだろう…。

ねぇ、でも…
こんなにドキドキしてるのは、私だけじゃ…ない?

あのときの先輩の言葉を疑いたいわけじゃない…。
それでも、そう不安になるのは…仕方のないことでしょ?

だって先輩は…そう、思えてしまうほどに…──


ふわり、

まだ、少しぎこちない…だけど、優しい抱擁。

名前が応援してくれるんだから…

「いつも以上に、頑張ってくるよ」

そう言って、嬉しそうに笑う。
余裕そうに思えてしまう声と笑顔。

…だけど。
私を抱きしめる先輩の鼓動が、速くて…。

それと同時に。
無意識に高鳴っていた自分の鼓動に気付く。

…そうすれば。
胸にあった不安など、少しずつ姿を見せなくなって…。

あたたかな気持ちが…私の心を、満たしていく───


二つの鼓動を感じて、願う。
いつだって、同じ想いを感じていたい。


ねぇ、人を好きになるって…、
きっと、こういうことだよね。




目指せ!白不二!!!がコンセプトです(笑)


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