それは、とある休日のこと。


「──痛、っ…!」

声が、した。。
特別大きな声ではないけど、ここは名前の暮らすワンルーム。
小さくても声は十分に響いて、小さな訪問者の耳に届いた。

「名前、大丈夫?!」
「っ、うぅ………だいじょ、ぶ」

声に驚いて目を向ければ、うずくまって目に涙を溜める名前の姿。

「全然大丈夫そうじゃないよ!ちょっと見せて!」

よく見ると、どうやら足。それも小指を抱えているのが分かった。

「わ、これは痛いよね…」
「……………平、気」

痛みを思って、少しだけ眉間に力が入るのはしょうがない。
そうしていれば、どうみても平気ではなさそうな表情で応える彼女。

──気付いたら、動いていた。

「…我慢、しなくていいよ」

瞳が潤む名前の頭に触れて、優しく撫でる。

大丈夫。我慢なんてしなくてもいい。
だって、今ここには二人だけなんだから。
…強がる必要なんて、どこにもないよ。

そんな想いをのせて、ただただ名前の髪をなぞるように触れた。


「ありがとう、」
「どういたしまして!もう大丈夫そうだね、」

少しの時間の後、そう礼を言う名前だが、少しだけ口を尖らせて零した。

「……一応、年齢的には私の方がお姉さんなのになぁ」

幼子にするように頭を撫でられたのが…少し、複雑な気持ち。
と。



痛みに星

「あっ、…嫌だった?」
「…………ううん、」

寧ろ嬉しいくらい、などとは…口が裂けても言えなかった。




久々に足の指ぶつけたら痛すぎて泣くかと思った、そんな話(笑)


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