季節は冬。

吹き抜ける風が冷たさを増し、人々が肩を震わせる。
此処でも、例外はなく…



一途に想う



「寒ーい!」

暖められた部屋から出るなり、大きな声をあげる名前。
冷たい廊下を足早に通り、リビングに駆け込む。
それと同時に感じたのは暖かい温度と…美味しそうな匂い。

「あれ、早かったね」

もう少しでできるから、

キッチンから顔を覗かせて笑ったキリクに、うん、と応えて座って待つ。
そんな少しの時間が、なんだか長く感じた。


「お待たせ」

それから少し。
できあがったスープをテーブルに置いて、顔をあげた私と目があう。
お互い小さく微笑んでから、湯気をあげているスープに視線を移す。

「寒いでしょ?」
早くあったまりなよ。

そう言ったかと思えば、あ、と思い出したように零す。
そして、それに応えるように振り向いた私を包むように抱きしめて、笑う。

「ボクもあっためるの、手伝おうか?」
「っ!!? もう、キリクっ!!!」

恥ずかしさを隠すように眉を寄せて、声をあげる。
私はこんなにいっぱいいっぱいなのに…!
少し離れたキリクを見て心の中で愚痴る。

可笑しそうに、だけど優しく笑うキリクはとてもカッコよく見えて。
その手が私の頭にポンポンと触れるのを感じると…それだけで、幸せ。

…こんな想いがするのは、おかしい…?

自分に問いかけたって答えが出るわけないのに。


そして、ふ、と。
聞いてみたいと思った。
…キリクに。

「ねぇ、キリク…」

こうして過ごすとき。
どんな想いを感じているの?

それが幸せな、嬉しい感情ならいい。
もっと長く、もっともっと…と求めるときならいい。

…そんな風に思うのは、おかしい?


突然すぎる私の問いに、驚いた様子のキリク。
だけど、ふっと笑って、もう一度包むような抱擁を。

「名前、ボクにこうされてて…イヤ?」

聞こえたのは、答えの分かりきった質問。

イヤなわけないでしょ?
ひととき離れたあたたかさに、名残惜しさまで感じていたというのに。

感情の表れやすい名前の顔を見ていれば、答えなんて明らかで。
いや、それ以前に彼女の答えは分かりきっていたけれど。

「ボクも、名前と同じだから───」

思わず緩んだ頬を隠すことなく返した言葉に、名前が瞳を大きく見開いたのが分かって…また。

意味に気付いた名前が恥ずかしそうに、嬉しそうに笑ったのは、その直ぐ後。


いつまで経っても、この想いは止まらない。

キミと一緒に居られるのなら、ずっと───




ぱんどら様へ誕生日祝い!
相変わらずのいちゃこら(笑)


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