〔烈火の炎:雷覇〕
全力疾走の先に
「あっ、ら、雷覇ぁーーーっ!」
名前を呼んで手を伸ばしたら、君はニッコリと微笑んでくれる。
…はず、なんだけど…。
「──どうしたんですか?」
走って来たせいで、息も絶え絶えな私を不思議そうに見つめてくる。
どうして、って聞かなくたって分かってるはずなのに…。
「だって、雷覇が…どこかに行っちゃいそうだから」
ずっとそう。
裏武闘殺陣のときだって、すぐに紅麗のところに飛んで行っちゃうから…私は追いかけることも出来なくて。
…って、私は柳ちゃんたちと一緒に居たんだから、当然だったんだけど…。…。
…思い返すと表情が暗くなるのは、貴女の悪い癖ですね。
今、ちゃんとここに僕が居るんですから…素敵な笑顔を見せてほしいんですけど…。
…でも、こういうのも嫌いじゃないですよ。
貴女が全力で走ってきてくれるのは僕のため。
だから、
「どこにも行きませんよ」
貴女が僕を、望んでくれるなら───
【まっしぐらの恋のお題 01. 全力疾走の先に】
恋したくなるお題 配布 様より。
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