〔遙かなる時空の中で舞一夜:多季史〕
こころたび
…ねぇ、季史さん…
ずっと、聞きたかったことがあるの…。…。
だけど、同時に。
怖くて、聞きたくなかったこと。
貴方とともに居るのは…、
私?
それとも、龍神の神子?
幾度も心でくりかえした問いかけ。
こんな風に言葉にしたら、貴方は困ってしまうかな?
だけど、返ってきたのは…予想と違う、強い視線。
そして、諭すようにゆっくりと告げられる言葉。
「私の傍に居るのは…いつだって、そなただけだ」
そして、私が望むのも…神子ではない。
…すごく、安心した。
私の神子としての役目…終わったら、貴方はどこに行ってしまうんだろう。
そう、考えていたから。
すっ、と。
季史さんが、私を優しく包みこむ。
少し力を籠めて…決して離れはしない、と言外に語るその腕がとても頼もしくて、嬉しい。
彼に応えるように、そのままぎゅっ、と抱きついて、全てで幸せをかみしめる。
…ねぇ、季史さん…
── 探しに行こう。
いつまでも、貴方とともに。
そして…、
二人で幸せな未来を築ける、その場所を…──
【歩み寄る二人の為のお題 08.踏み出した一歩】
恋したくなるお題 配布 様より。
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