〔仕立屋工房:キリク〕



頼みごと。



ねぇ、キリク…。
たまには、たまには…ね。

「料理、教えてくれない…?」

突然の私の頼みに驚いたキリクが不思議そうな表情で見てくる。
…そりゃぁ、そうだよね。
今まで、全然そんなことしなかった私なのに…。…。

…だけど。

「美味しいもの…作ってあげられるように、したい、から…」


突然、そんなことを言ってきたキミに、少し驚いて…顔を向ける。
恥ずかしそうに目を向けてくる様子を見ていれば、自然と分かる。

…誰に、なんて聞く必要はないみたいだね。
心で小さく呟いて、言の葉を…キミへ。

「ありがとう…」

自然に笑みが零れている。
キミがそう思ってくれた。
それだけでボクは、こんなに幸せなんだ。

いいよ。
キミはボクのために。
ボクは、キミのために…美味しいものを作るから。





【頑張りやな君へのお題 06.ねぇ、たまには…】
恋したくなるお題 配布 様より。




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