〔少年陰陽師:安倍昌浩〕



ありがとう。



『ありがとう。』

その言葉が紡がれる度、どうしようもなく幸せに思える。

『ありがとう。』

私の、言葉にできないこの思いは、ちゃんと貴方に届いているのかな?


昌浩が私にしてくれること、与えてくれるもの…。
それは、とても大変なこと。
とても嬉しく、大切なもの。

…それじゃぁ、私は?
何も、できなくて…護られてばかりの私は…。…。
昌浩に、なにを返してあげられるの…?───



今日も、ほら。
昌浩のために。皆のために。
そう思っても、結局失敗で…私にできることなんて、いくつあるんだろう…。…。
そう、思わず問うてしまうほど。

だけど…。

そんなときでも…君は絶対に私を責めないから…。…。
そして、また…助けてくれるから。
だから…どうしても、甘えてしまっているのかもしれないな…、なんて。
そう思って、泣きそうな表情を隠すのが精一杯。

そうすると、私の思いなんて分かっているかのように…私の欲しい言葉ばかりをくれる。


俺のために、って思ってしてくれたんだろ?
それを…誰も責めたりしないよ。

そう言って、私の表情を伺うように問う。
顔を俯かせていた私は、頭を小さく頷かせるしかできなかった。



「ありがとう」

昌浩から、私へ。

いつも、言ってもらってばかりだけど…。…。
私も、本当は…いつも言いたいと思ってる。

ううん、と控えめに首を振れば、不思議そうな表情で私を見てくる昌浩。

『ありがとう。』

それは、どうしても伝えたい思い。
届いてほしい、と強く願うほどの…──

『ありがとう。』

こんな私を、助けてくれて…護ってくれて…。…。
優しく、微笑みをくれる。
そんな、君が…大好き───

そんな想いを抱いて。

今なら、素直になれないこの想いも…伝えられるから。

「私の方こそ…いつも、ありがとう」

そう言って、顔を見合わせると…二人は、幸せそうに笑いあった。





【頑張りやな君へのお題 09.「ありがとう」はこっちの台詞】
恋したくなるお題 配布 様より。




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