「あけましておめでとう」

両親と兄と。
12時をまわると同時に新年の挨拶を交わす。

それじゃぁ、と断りを入れてすぐ…自分の部屋へ。


少し経つと、電話の呼出し音が響く。
相手の名前を確認すると、嬉しさのまま通話ボタンを押す。

「もしもし」

そのままの思いで応えた私に、周助が小さく笑ったのが分かった。

「あけましておめでとう」
「おめでと、今年もよろしくね?」
「もちろんだよ」

声で分かる周助の表情はいつもみたいに優しくて、なぜだか安心した。

私たちは、新年をそれぞれの家で過ごすことにしている。
お正月に一番大切にすべきは家族だから、と言って。

だから、続いた周助の言葉に驚きを隠せなかった。


「…いつか、一緒に新年を迎えられるのが楽しみだね」

…ねぇ、その言葉は、いい想いで解釈していいの?
示された幸せな未来を…期待しても、いいの?

ただただ、疑問が続く。

…応えて…?

そうでもなければ、私は…夢なんじゃないかと疑ってしまう。

── …ねぇ、

私の想いなんてお見通しな君が零した言葉が、まるで私の問いかけに応えているようで…とても、安心できた。


ありがと、

君の優しさに。
遠回りな告白に。


果てを知らぬように高鳴り続ける胸を余所に。
ただ、あたたかな想いで満たされている心。

今はこの想いを上手く表せない私だけど…いつか、君に届けるから…──

だから、待ってて…、

飽きてしまわないでね…?

私が愛せるのは、周助だけなんだから。



時をかぞえて、君を想う


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