俺の幼馴染は、とても可愛い。
マイとシン。
大人になった今でも、二人の兄として可愛い妹弟を見守っている。つもりだ。


05


「あっ、トーマ!」

大通り沿いの店へ買い物に来てみると、前からマイが歩いてきた。
その隣には、いつの間にか成長して高校生になったオリオンの姿。

「お、オリオンも一緒なんだな」
「うん、今日はマイとデートだから」

その言葉の意味が分かっているのか、そうでないのか。
マイは嬉しそうににっこりと笑顔を浮かべている。

ふと、買い足りないものを思い出したマイがオリオンと俺を残して店に向かう。
あの顔は、女性用品か下着か。
つまり、男を連れて行きにくいから少し話していてほしい、と。


「マイと、よく一緒にでかけるんだ?」
「うん。部屋も近いし、女の子が一人でたくさん荷物持って帰るのは大変だし」
「そっか、えらいな」
「ちょっと!ボクもう高校生なんだけど!」

オリオンとは、そんなに頻繁に会うわけじゃない。
だけど、あいつがよく話を聞かせてくるから。
…良い子なんだろうな、って単純に思ってはいる。

子供扱いしたつもりはなかったけど、自然と出た言葉と手。
それに、子供扱いするな、って。
怒った、というより拗ねた表情で訴えてくる。
あぁ、そっくりだ。なんて、赤い瞳の弟を思い出す。

「変わんないよ、俺からしたら」
オリオンは小学生の記憶のまま、マイは──

「オリオン!トーマ!」

おまたせ、と駆け足で寄ってくるマイは、また嬉しそうに笑顔を浮かべている。
おかえり、と俺が口を開くより、早かった。

「おかえり、マイ!」

マイと同じくらい嬉しそうなオリオン。
笑いあう二人を微笑ましく思うのと同時に、少しひらいた距離が淋しかった。


俺はまだ買い物の途中だから、と言って家に帰る二人とわかれた。
ふと振り返ると。
大きな荷物を提げたオリオンと小さな荷物を持ったマイが仲良く歩いていく。
話をしながら、時々お互いの顔を見て、嬉しそうに笑いあう。


マイは、俺が守っていくんだ、って思ってた。
ずっと、俺が傍にいてやるんだ、って。
だから今日、笑顔で隣を歩く二人を見て、少し心が締め付けられた。

だけど。
それは。

「…妹だから、だよな?」


思いのほか強いらしい感情に、一人ぽつりと問いかけた。



溢れ出しそうな君への想い


【Fortune Fate:片恋ひとひら5題】

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