07


「で?」

「…で、って?」

ぶっきらぼうに目をやって、呟くシン。
意図が分からずにマイが問い返せば、ふいっと顔を背けて続けた。

「…あいつと、予定じゃなかったの」

それは、問いかけというより確認だった。
オリオンとでかける予定だったはずの私が、冥土の羊に一人で訪れたから。

「今日は…お兄さんが、風邪、ひどいみたいで」

朝、大きな謝罪と一緒にそれを聞いて、ぼんやり。
神様って風邪ひくんだ…あ、今はもう人間だから。
慣れてないから余計つらいんだろうか。
とか、色々考えてしまった。
と言っても…慣れてもつらい時はつらいし。こればかりはしょうがない。

「デートデート、って浮かれてたのに…残念だったな、」

顔に出ていたのだろうか。
呆れたように零す幼馴染は、いつもよりちょっとだけ優しい。


幾分歳の離れた少年に夢中になって。
あの頃のように喜んでくれるのを楽しみにしていた。
どこへ行けば、何を言えば。
オリオンは笑ってくれるだろう。

変なんだろうか、こんな風に思うのは。
ただ、
あの頃のお礼をしたいと思っていただけのはず。



「……勝ち目、ないな」

誰にも聞こえないくらい、小さな声で。

「え?何か言った?シン」
「何も、精々可愛がってもらえよ、あいつに」

そういえば、少し頬を染めて。
そんなんじゃないよ、って。
…説得力なさすぎ。

そして、話を逸らしたかったのか。

「シ、シンは!いい話ないの?あ、あったら教えてね、」
応援するから。

自分から言っておいて、あたふたしてるマイ。
…ったく。
年下オーケーなら、俺にもチャンスあるかも、とか。ちょっと思ったのに。

「………そうかよ」

相変わらず、向けられる感情に疎い幼馴染に。

「……ま、頑張れば」

うまくいくとは思うけど。

想いを抑えて、そう呟いた。


おせっかいは君の得意技

……鈍感。




マイちゃんをおせっかい焼きにしようと思って書き始めたのに、
結果どっちがおせっかい焼きかよく分からない感じに…
まぁ、おせっかいと言うか言わないか、くらいになってしまいましたが^^;

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