気が付いた!
そういえば私…まともに自己紹介してません!

「──と、いうことで!」
「………どういうことで、だ」
「もう!カリガネってば…細かいことまで気にしてたら、ここにシワできるよー?」

ぽんぽんと自分の眉間に触れて頬を膨らませる撫子。
対するカリガネは、そんなことはどうでもいい、と言わんばかりの顔つきだ。

「……説明してもらう」
「急かさないでよー、今からゆっくり自己紹介するんだから」
「…自己紹介?」
「そう、自己紹介」

理解できないというように、カリガネが首を傾げる。
撫子は、気にしていない様子で先を進める。

「えっと──名前は撫子、高校2年生。家は知ってのとおり、葦原家のご近所さん。」

もう分かりきっているプロフィール。

「…で。ここの花屋は伯母さんのお店だから、小さいころからよく遊びにきてました!」

バイトを始めて少しした頃に店主から聞いた覚えのある話。

そのほか諸々。
勢いよく言い切って、少しだけ考えるように瞬く。

「あと、何が聞きたい?なんでも聞いてっ!」
「……いや、」
「あっ、好きな色はね──」
「…聞いていない」

遮るようなカリガネの声に、撫子が不満げに声を上げる。

「えーもういいの?」
「……十分だ」

納得いかず、といった表情だが、ここは女性。
切り替えの速さは、あっという間である。

「それじゃぁ、次!」
「……?」
「カリガネからも自己紹介、お願いしますっ!」
「…断る」



互いをよく知る

「あっ、ちなみに好きな花はね──」
「……そうなのか」

(──これはちゃんと聞いてくれるんだ…なるほどっ、メモメモ…)

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