季節は夏!
私撫子もだいぶ薄着になりました。
しかも今日は、いつもよりちょっと可愛めの服なんて着ちゃってたり。
だって……で、デート!なんだもの!カリガネと!
ありえる!?いや、ありえないでしょ!だって、あの、あの!カリガネとデートなんて…!

…も、猛アピールするぞー!

「……何をしている」
「えっ!?い、いやこれは!な、なななんでもなくて、その…」
「………いい、落ち着け」

思いのほか大きく握っていたこぶしを見た…そう、カリガネが。呆れた表情で私を見ている。
慌てて首を振って、返ってきた応えに数回小さく息を吐く。

「………お待たせしました」
「あぁ、」

なんで出会って早々君を宥めなければならないんだ、と普段なら顔に書いてあるはず。
そう思ってカリガネを見ると、じっとこちらを見つめている視線と目が合う。

「…あ、あの…?」
「………服、よく似合っている」
「えっ、」

わずかな微笑みとともに、嬉しい言葉が耳に届く。

「──とても綺麗だ、」

「………っ!!」

声にならない叫びを抑えられない。
なんとか平静を保とうとするけど、声になるのは震えた音ばかり。

「なっ、なななななにをっ!?そ、そんなきゅ、急に…!」

にっ、ニセモノぉー!
と、叫ぶ半面。
これが夢じゃなければいいのに。
と、願う半分。

…と、とにかく!急なのは心の準備ができないからNGなの!

そんなことを考えていたら…カリガネの手が、腕に触れて、頭に触れて───

うああぁっ!う、嬉し恥ずかしいぃいいいいい!


「──という夢を見たの!ね、正夢だと思う?!」
「………重症だと思う」

興奮気味の撫子に反して、親友の千尋はとても冷静だった。



夢でもあなたを想う

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