いつもと同じ通学路。
今日も甘い香りが満ちる花屋で、いつもと変わらない店主のおばさんが居る──と、もう一人。
見たことのない、お兄さん…?

「こんにちは…?」
「…いらっしゃいませ、」

花の世話をしていた彼が撫子に気付いて顔を上げる。
無愛想で少しだけぎこちなく聞こえるその声は、とても静かで綺麗だった。

アルバイトの人…かな?

ふとそんなことを考えていると、馴染みのおばさんの声が店内に響いた。

「撫子ちゃん!おかえり、今日はちょっと早いねぇ」
「うん、今日は短縮授業だったの──やっぱり良い香りだね」

店主の声に答えて、ひとつ深呼吸。

「でしょう?撫子ちゃんの好きな花も、そろそろ入るからね」
「ほんと?楽しみだなぁ」

とても嬉しそうに笑う撫子。
それにつられるように笑っていた店主が、思い出したように言った。

「──あ、そうそう撫子ちゃん。彼は今日から働いてくれるカリガネくん」
「カリ、ガネ………さん?」

首を傾げて不思議そうに反復する撫子に、カリガネが言う。

「…カリガネで、かまわない」
「えっ、で、でも…」
「…皆、そう呼ぶ」

「え、っと…じゃぁ、カリガネ…よろしく、ね?」
「…あぁ」

不思議な人だ、年齢を気にしてないのもそうだけど、なにより雰囲気が。
私が店主と知り合いだろう、というわけでもなさそうで…。


それから、帰宅途中もずっと。

彼の様子が、頭から離れなかった。

──明日もいるのかな?

もっと、色々話してみたい。
その不思議な空気に呑まれてか、自然とそう思った。



変化




カリガネが好きすぎてやってしまったシリーズ(笑)
カリガネ大好きを全面的にプッシュ予定で、ヒロインの暴走をとめないことが目標w

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