2018/05/24 22:42
「お誕生日おめでとうございます」

目の前の小さな花が、満面の笑みを向けてくる。
柔らかな音が届いて、ふと、そこで気が付いた。
誕生日、という言葉を私に教えた彼女は、すっかり忘れていた私の顔を見て満足そうに微笑んでいる。

時を経るごとに積もっていくこの想いに、まだ上があったのかと。我ながら驚いた。
少しばかり熱くなった頬を誤魔化すように、一度視線を逸らして。
…いや。真正面からの言葉には、同様に返さなくては。

「ありがとう」

きっと、少し前の自分には想像もできないような、幸福に満ちた表情だったろう。

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