街は日常を刻んでいる。
変わらず、変わらず。

俺だけをとりのこして。


折原臨也がいなくなった。
そう噂がたったのは大体2週間位前のことだった。
俺は雑踏を流れるその話を耳にしてもなにも感じない。


なぜなら折原臨也は、俺が殺したからだ。

自販機でもガードレールでも標識でもなく、この手で殺したからだ。



殺したかったわけじゃない。
ケンカしててうっかりって訳でもない。

俺は、俺に甘えようとしたあいつを照れ隠しで軽く、叩いただけだった。
それ、だけだった。


ぽく。


奇妙な音をたててあいつの首が妙な方向にぐらりと倒れてあいつが一瞬だけ目を見開いて。

そして、動かなくなった。


涙は出なかった。
ただ頭が真っ白になって。
きがついたら新羅のマンションで、慌てたセルティと新羅が臨也を運んでいったところだった。

手遅れなのはわかってた。
だけど。
それでも。
連れて来ずには居られなくて。
認めたくなくて。

いまだに俺は臨也が生きているような気がしている。
隠れ家を1個ずつのぞいていけば、池袋をくまなく探せば、俺の家にいけば。
あいつがあの嫌な笑顔を浮かべて死んだと思った?とか言って、ひょっこりでてくるような気がしている。

だけど、あいつが死んだ事実は、事実でしかない。
あいつがひょっこりでてくるなんて俺の妄想でしかないのだ。



結局俺は満足に愛することもできなかったんだ。
俺は、弾みで人を殺してしまうような、制御のきかないなりそこないの化け物でしかない。
あんなに強かった、あんなに愛していたはずの臨也を、弾みで殺してしまうような化け物だ。

お前が愛したから死んだんだ。
お前が愛さなければ死ななかったんだ。
化け物に人を愛する資格なんて無いんだ。
最初からお前は、愛することなんて、出来なかったんだ。

雑踏に混じる噂が、そう俺を責めているような気がした。
それでも俺はまだ認めず、この街の空気に臨也を探している。


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