「シズちゃんはさ、俺を殺したい?」

何を急に解りきった事を聞くのだろう、このノミ蟲は。

「答えたら死んでくれるのかてめーは、よ!」
「ばっかだな、そんなわけないじゃん」

俺が振り下ろした標識は奴にひょいと避けられた。

「避けんな。」
「普通の人間は避けなきゃ死ぬんだよ?シズちゃんとちがって。」
「殺すためにやってんだよ!」

わー、こわーい。と奴は全く怖くなさそうに笑う。うぜえ、殺したい。だがその死ぬほど殺してやりたい奴は懲りないらしくそのまま話し続ける。

「じゃあさ、もしシズちゃんが人を緩やかに駄目にしていけて、でも殺してないから罪には問われない。そんな毒をもってたら」

どうする?
相変わらず顔にはうざったい笑みを貼り付けたままやつはそんな妄言を吐き出した。

「そんなもんあってたまるか。」
「あるか、ないかはこの際いいの。たとえだよたとえ。やだなあそんなこともわからないとかこれだから想像力の無い奴は、」
「うるせええええええ!」

ばきっ、と右手からひしゃげる音。みると先ほどから武器にしていた標識が見事に真っ二つになっていた。

「そんな都合のいい毒があるならてめえに盛るに決まってるだろ!!うぜえ!殺す殺す殺す!!」
「ふーん…」


あるよ。


奴は、俺の手からビームの如き速度で放たれた標識だった物を再びひょいとよけながら言い放つ。

「人をゆっくりゆっくり蝕んで、駄目にする。けど法律には引っかからない毒。俺もシズちゃんに盛ろう思ってたんだ、ちょうど良かった。」



ねえシズちゃん、




「好きだよ。」

その毒の名前は、


〈End〉
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昔チャットで投下したものを微修正。
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