「失礼します」


ドキドキと鳴る心臓を抑えて職員室に入った。
一人では心細いが緋羽さんは案内を終えると謝罪を私にして小走りで教室に戻っていった。(急ぎの用事でもあったのかな?)


「……何だ?」

「あ、あの!今日転入する……」


一番最初に声をかけてきたのは凄く大きな男の人だった。しかも驚くことに髪はピンクだ。え?先生がピンクの髪?染めてるの?それっていいんですか?この学園はちゃんと機能しているのですか?軽くパニック状態に陥る私。



「あー貴方が涼騎冬夏さん?」

「は、はいっ!」


ニョキッと男の人の後ろから藍色の髪をした女の人が現れた。
藍色の髪はまだ許容範囲なのかな?紅色、ピンク色と立て続けに見てしまったのだから藍色は普通に見える。


「黒那ぁ、アンタただでさえ無駄にでかいんだから怖い顔しちゃダメでしょー」

「我は別に普通だ」

「あー、はいはい」

「あの……」


何をしたらいいか分からない私は勇気を振り絞って声をかけた。



「あ、ごめんねー。確かクラスは芹浪と一緒のはずだから……クレアちゃーん」


「はーい!ギャッ、ごめんなさい!」元気な返事が聞こえたと思ったらバサッと紙が散らばる音とゴンッと何かにぶつかる音がした。



「クレアちゃん……大丈夫?」

「いつーっ、大丈夫です……」



頭を擦りながら起き上がった女の人、なんか髪色とかが凄く派手で吃驚。緋羽さんが学園内に入ってたら気にならないってこういうこと?



「あ、転入生の涼騎冬夏ちゃんですね?」

「は、はい」

「私が担任のクレアです!」

「よ、よろしくお願いします」



ガバッと頭を下げてお辞儀をした。なんか色々と派手でちょっと怖いんだけど!!



「く、黒那さん!莉埜さん!見ました!?お辞儀ですよ!挨拶で深くお辞儀されました!!」

「一般の転入生とかなら普通だな」

「まぁ、あのクラスでそれは望めないよねー」

「私頑張ってこの子守りますよ!」



え、何に守られるの!?なんか悪の親玉とかいるの!?


「ク、クレア先生?」


遠慮がちに呼ぶとクレア先生は何故か感動したように目を輝かせた。



「(先生って呼ばれた!)何かな?」

「えっと、先生は……」



不良で髪を染めてるんですか?って失礼すぎてきけねぇぇぇっ!!



「えっと、その……」

「ん?」

「髪……」


今更何もありません、なんて言えなくて髪としか言えなかった。



「あ、髪と目?私クォーターだからこんな感じなんです」

「クォーター……」


クォーターって両親だけじゃなくって祖父祖母も違うんだっけ?
お母さん、お父さん。私は初めて見たクォーターの人が担任になるらしいです。



「でもあんまり気にしない方がいいですよ。私の色なんて比じゃないほどですから」



え、何が?何が比じゃないほど?そこら辺詳しく教えてください!
遠い目をするクレア先生に激しく説明を求めたかった。
いや、本当に。本気とかいてマジで説明していただきたい。


「それじゃあ、教室に向かいますね」

「は、はい!」



我に返った先生はニコッと笑って立ち上がった。



いよいよ新しい教室に向かうんだ!自己紹介のときとか噛まないといいな!





(先生の言葉を理解するまで後少し……)





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