「で、さっきの質問なんですけど……何でこの機会伝説とイノセンスが関係あるんですか?」



部屋に入って座るなりモヤシが質問した。



「おい黒豆が答えろ」



何で僕が……


結局面倒だからスルーした。



「……」

「……」

「……」

「……」


「ッチ、イノセンスってのはだな……」



睨み合いに勝利したおかげで余計な労働をしなくてすんだ。


「あの、その、貴方の名前まだ聞いてなかったのですけど……」



突然話しかけられた。



「教えてもらえませんか?」



不安そうに尋ねられたが、教える気なんて毛頭ない。




「吾輩は猫である」


「え?」



「お前は偉人か!?」


正直、バカンダに通じるとは思わなかった……。



「牛乳……」


「誰が飲むか!」


「僕飲めなんていってない……。カルシウム不足、牛乳」


「結局俺に飲めって言ってるんだろ!!てめェが飲んどけチビ!」



「……牛乳の飲みすぎ、骨粗鬆症の原因。牛乳飲んでも背は伸びない」


「……」




そういえば神田ユウは黙り込んだ。

コイツと話してるとついつい心許しそうになって危ない……。



「結局名前……」


「列車着いた……」



モヤシの言葉をスルーして列車から降りようとした。



「ねぇ、モヤシ。名前なんて人を呼ぶ記号のようなもの……。そこまで聞こうとしなくてもいいじゃん……」


「えっ!?」


それだけ言うと、僕は列車から降りた。



名前をうっかり教えて呼ばれると心許しそうになるから危ない……


僕は独りでいるのが調度いいんから名前で呼ばれる必要なんてない


もう誰も傷つけたくなんてないから……


列車から降りて空を見上げたら三日月が浮かんでいて、少し嫌な予感がした……。



嫌な予感から始まった任務

(任務は基本一人がいいのに……)
(モヤシが来た所為で複数行動になったなら……)
(アイツの印象は本当に最低最悪だ……)






狼娘物語





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