Plesent Story | ナノ



「……」

志貴は部活が終わり、家に帰ろうと鞄を肩にかけて正門にへと歩いてた。
そしてその正門の門柱にもたれて、こちらに気づくなりニコニコ笑いながら片手をあげ、「やっ」と挨拶する金髪の男。
そういえばすれ違う女子が格好いい金髪の人が正門にいたっつってたな……志貴は顔を嫌そうにして思った。

「何故お前がここにいるんだ」
「えっ、久しぶりに会っておいて開口一番がそれ!?」

大袈裟に反応する金髪、ラウル。それを見て志貴は「ッチ」とあからさまに舌打ちをした。「ひどいっ!」と叫ぶラウルを無視して志貴は歩くが、ラウルはそれでもめげず、話しかけてきた。我慢の限界で「うざい」の一言。それに対し「辛辣!」と叫ぶラウルだがあの笑顔はなくなってなかった。

「……本当に何のようだ」
「強いていうなら志貴君に会いに?」
「死ね」

理由を聞くだけ聞いてばっさり切り捨てる。その様子を見てラウルは「本当に警戒心が強いなぁ」と笑いながら志貴の鞄を取り上げた。「返せ」と取り返そうとするが、悲しいことに身長差が大きく、奪えなかった。

「返してほしかったら俺と遊ぼうねー」
「うざい」
「……あのさ、なんで俺だけ扱い酷いの?アスカちゃん以上に酷いよね!」
「アスカは純粋すぎるからだ」
「俺も純粋だ「お前のどこが純粋だ」」

言葉を遮っては辛辣な言葉を吐く志貴。ラウルは「泣いていい?」と真顔で聞くが「勝手に泣け」と追い討ちをかけるようなことをされるだけだった。
正直いってこの光景、酷いものといったらありゃしない。大人の男が16歳の男に泣かされているのだから。ラウルを知ってる者から見れば「きもい」の三文字で一掃されるだろう。しかし、ラウルを知らない者から見ると彼はパッと見男でも女でも通用する顔立ちのうえ若く見えるため、背の高い女の子が毒舌の男の子に泣かされてると見える。
おかげでさっきから通りすがりの人がチラチラと見ては「酷い子ねぇ」と呟いてく。志貴の評判が下がるったらありゃしない。
これがアスカならまだしも、ラウルだから余計苛立たせるものがある。志貴は今にも殴ろうとする衝動を必死に抑えていた。

「おい」
「?」
「お前恥ずかしくないのか?年齢わかんねーけど俺より年上だろ。しかも男だろ」
「恥というものは結構昔に生ゴミ処理機に出したよ!」

何故ここで生ゴミ処理機をチョイスした。その答えは聞いても返ってこないだろう。というよりもそれでいいのか。そんなことを考える志貴をおかまいなしにラウルは「それじゃあどこかに遊びにいこうか!」と勝手に決めていた。"逃げる"という選択肢は初めから志貴に与えられていない。だってテニスバックをラウルにとられているのだから。
志貴に与えられた選択は"諦める"のみだった。

「あ、俺ここらへんの地理知らないから志貴君案内お願いねー」
「本当に死ね」

そう言いながらもラウルを案内するあたりは優しさからなのだろう。
……ただ単にさっさとラウルから解放されたいだけなのかもしれないが


とある日のお話

(ラーウールー)
(げっ、キラり(斬る!)わわわっ!血の気多いってば!本当に闇龍を抜刀しないでよ!)
(誰だ?)
(……お前が三浦志貴か。悪いな、アスカと金髪馬鹿が迷惑かけて)
(ここでもアスカちゃんとの扱いの差が出てる!あ、でもキラりんだからしかたがなぐあ゙っ)
(とりあえずコイツは回収する。悪かったな、鬱陶しいことこのうえなかったろ)
((ラウル生きてるのか?)あぁ、鬱陶しかったな)
(そうか、安心しろ。アジトでみっちりしばいとく。またうちの連中が迷惑かけたら連絡してくれ)
(わ、分かった(結局誰なんだ?あいつ))





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