ずっと一緒にいてね/敏京



「京君、俺と京君が付き合って何年でしょう」
「は?知らん」
「またまたぁー。知ってるでしょ!4年7ヵ月と16日です!」
「うん、やから何?」
「そろそろねー。同棲してもいいと思うんだよね、俺」
「は、またそれか」
「いいじゃん!ほぼ毎日お互いの家行き来してるしさぁー。もう一緒に暮らしてる様なもんじゃん。引っ越ししよ?一緒に暮らそうよー」
「うん、ウザい」
「何で嫌なんだよ!京君の馬鹿!!」
「あ?死ね」


もうー。
何でそんなに一緒に住むの嫌なワケ!?

や、前に理由は聞いた事あるけどさァー。

あるけど!!
やっぱ俺は京君と一緒にいるのが当たり前でずっと傍にいたいワケで。

京君と同棲したいんですよ。

同棲って響きもいいよね。


「京君は俺の事嫌いなの!?」
「はぁ?んな事言うてへんやん」
「じゃぁ一緒に暮らそうよ。ちょっと広い部屋引っ越ししようよ」
「んー」


京君は眉を寄せて、何か考えてる。
そんな考えたり、拒否する様な事なのかなぁ。

もう毎日の様に俺んちか京君ちにいるんだよ。

一緒に暮らしてる様なもんじゃんか。


「きょーくーん」
「ちょ、ウザい離せや!」


隣に座る京君に腕を回して抱きつくと、思い切り身体を捩って拒否られた。

まぁ、俺のがデカいし、京君の身体なんて易々と押さえ込めるけどね。


「ねぇ、一緒には暮らしたい。マジで」
「知らん。僕は嫌やって言うたやん前に」
「…何で?仕事場でも家でも一緒だよ?住む場所が変わったってだけで、変わらないよ」
「…はぁ。もうそんなウザい事言うなら帰るで」


京君は俺の腕の中で思い切り溜め息を吐いて。

帰る、と言う台詞により一層抱く腕に力を込める。


「やだ。ねぇ、京君は逃げたいの?」
「は?」
「逃げ場所がなくなんの、嫌なの?」
「何、言うてんねん」
「お互い喧嘩して、嫌な事があっても仕事場でも家でも同じ空間にいるしか無いのが、嫌なの?今みたいに帰るなんて出来ないもんね」
「………」


京君が、視線を逸らして俯いた。
そんで舌打ちが聞こえて来て。


京君の身体を抱く俺の腕を掴んで、引き剥がそうとするから。
大人しく、腕を解いてやると京君は座ったまま俺に背を向けた。


「きょーくーん?」
「……」
「ねーぇー」
「…ウザ」


あぁー。
ご機嫌は麗しくない様子。

わかりやすいんだよね、京君。
そんなトコが可愛いんだけど。


「京君と一緒にいたいの、俺。四六時中、ずっと一緒がいい」
「……それでなぁ、飽きたり、嫌んなったらどうすんの」
「え?」
「僕めっちゃ我儘で自己中でめんどい人間やで」
「うん」
「一緒におって、もっとそれがわかって来るかもしれんで。えぇの、そんなん」
「何言ってんの。お互い様だろ、そんなの。それも含めて好きで愛してるから一緒にいたいの」
「ふーん…」
「京君はさ、一緒にいて空気みたいな存在になんのが嫌って言ってたけど」
「うん」
「良い所も悪い所も、まだ知らない部分っていっぱいあると思うよ、俺。人間成長してくモンだしさ。新しい発見あると思うんだよね」
「………」
「だから、飽きない自信があるし、飽きさせない自信もある。ね、一緒に暮らそう」
「うー…、ん…」


まだ迷ってる京君の背中に苦笑いを向けて。
近寄って後ろから抱き締めて、京君の左手を取る。

ハメられてる、薬指のリングを指でなぞって。


「後ねー、やっぱ俺ってヤキモチ焼きじゃん?」
「うん」
「同棲、したらほぼ一緒じゃん。だから、そっちの方がいいなーって」
「…は?」
「京君と一緒にいんのは、俺だけでいいの」
「やから嫌やって、そんな狭い世界」


指輪を撫でながら言うと、京君は振り返って笑った。

笑ってるけど、半分本気なんだけどなー。

まぁ後輩とかは、仕方無いかなって思うけど。


だから普段はせめてずっと。
俺の手の中にいてよ。

手放したく無い程、京君の事好きなんだよ。


「だから一緒に暮らそ?いいよね?」
「───…ん、えぇけど」
「マジで!?やった!」
「うわっ、苦しいやろアホ!」


京君の許可が下りて、嬉しくて後ろから抱きつく。

これから物件見に行ったり新しく家具買いに行ったり、引っ越ししたりするんだって思うと楽しみで仕方無い。

だって全部、京君と一緒なんだもん。


「じゃぁ引っ越し資金貯める為に節約しよーね!」
「え…何でそんなめんどい事…」
「だって何かカップルっぽくね?それって」
「知らんけど。節約って何するん?」
「…さぁ。何だろうねぇ」
「うわ、役立たずや」
「だってわかんねーもん。あ、そうだ手料理!」
「は?」
「いつも外食かコンビニだったじゃん?お金かかるし、スーパーで材料買って自炊しよーよ」
「めんどい…敏弥やったら」
「えー、京君の手料理食べたい」
「卵かけご飯なら作ったる」
「他も覚えて」
「嫌じゃ死ね糞が。そんなんさすなら一緒に住まんで」
「とっち料理頑張るね!」
「よし」


あぁー残念。
京君の手料理食べてみたかったって言うか、料理作ってる京君を後ろから襲いたかったって言うか。

まぁ新妻プレイは雰囲気だけでも出来るしね!


何より京君と一緒に住めんのとか。
めちゃくちゃ嬉しい。


「京君ー大好きだよー」
「はいはい」


これからもずっと、宜しくね。




20090929


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