敏弥A※/敏京




「…何これホンマ無いわ…敏弥何なん。どんな趣味しとんアイツ風邪治ったらシバいたる」
「京くーん、着たー?」
「ちょぉ待てや!アホ!」
「ねー、早く看病してよー…」


毎年の恒例行事になりつつある、敏弥の誕生日にコスプレしてセックスする事。

今年、敏弥が用意しとった衣装はナース服。


…お前、風邪引くん予知してこれ買ったんかって疑いたくなるわ。


しゃーないから、敏弥から見えへん位置で着替える。
袋ん中から出した衣装を全て着る。


ナース姿もミニスカやし、ニーハイとガーターやし…敏弥ってこんな趣味なんやってウンザリする。

今更やけど。


姿見の前で、コスプレ衣装を着た自分の姿を観察。
そんで溜め息。

嫌やわー…僕何しとんやろ…。
敏弥の看病これでするんや…。


「きょーくーん」
「あ゛ーもう!うっさいわ大人しいに寝とれ!」


ヘコんどったら、敏弥が急かす様に呼ぶから覚悟を決めて敏弥の前に姿を見せる。


もう自分の姿は気にせん事にする。
今は敏弥の看病や、看病。

…何すればいいかわからんけど。


「ッ、かわっ、可愛い!きょー…っ、ゴホッゲホ…ッ」
「起き上がんなやボケ!寝とれ言うとるやろ!」


僕の姿を見た瞬間、目ぇ輝かせて起き上がろうとした敏弥。
その途中、肘付いて咳き込んで。


熱も高いんやから、起きようとすんなやアホ。


咳き込む敏弥の背中を撫でたって、無理矢理ベッドに寝かせる。
荒く息を吐く敏弥に布団を掛けて。


「敏弥大丈夫なん?何か欲しいんある?」
「あ゛ー…水、ちょーだい」
「水な。ちょぉ待っとれ」


ベッドから離れて、敏弥んちの冷蔵庫を開ける。
相変わらず何も無い中、ストックしとるペットボトルの水を取り出してまた戻る。

寝とる敏弥にそれを差し出す。


「敏弥、水」
「…飲ませて」
「あー…ストローとかあったっけ、」
「京君の口移しで」
「はぁ?」
「…ダメ?」
「……」
「ねぇ、京君」
「…、今回だけやで」
「うん」


嬉しそうに笑う敏弥の顔。

もう何なんコイツ。

熱の所為か知らん、僕を見上げる敏弥の目は濡れとって。

掠れた声で強請られたら言う事聞いたらなアカン気ぃするやん。


ホンマ、コイツ元気になったらシバいたんねん。
腹立つわー。


敏弥が寝とるベッドに足を掛けて乗り上げて、あんまベッドの幅も無いから敏弥の身体を跨いで。
顔の横に手を付くと水を口に含む。


そのまま、少し開いとる敏弥の口に唇を押し付けて口に含んだ水を口移す。

やり方あんまわからへんのやけど…敏弥飲んどるみたいやし、よかった。


「…もっと」
「しゃーない奴やな」


少し口から溢れた水を舐めて唇を離すと、敏弥はじっと僕を見上げて来て強請る。

もう一度、口に含んで敏弥に口移すって行為を繰り返す。


「ん、ありがと」
「他に欲しいモンとか無い?」
「大丈夫」
「ほうか」
「うん。何かもうすげーいい眺め…ずっと何もいらないから、こうしてて」
「は?」


敏弥の身体に跨がった状態の自分。
敏弥の視線を追うように自分の身体を見下ろす。


…忘れとった。

僕、今アホみたいなナース服着とったんやった。


敏弥の身体を跨いで座っとる状態やから、スカートがめっちゃ捲れてギリギリ。

ノリでガーターとか穿いてもとるし、ありえへん自分の姿。


「アホか!見んなボケ!」
「やーだー…」
「はー…もうありえん僕…何この姿…」
「いいじゃーん…超癒される…」
「……」


敏弥風邪引いとんのに変態具合は変われへんのやな。


敏弥の手が、布団中から出て来て僕の剥き出しの太股を撫でる。

熱あるからか、敏弥の手は熱い。


呆れ気味に敏弥を見下ろすと、言う事はいつもと似たような事言うとんのに。
やっぱ顔はしんどそうな感じで。

僕と視線が合うと無理矢理笑うような感じ。


軽く息吐きながら熱で潤んだ目ぇ見たら、ちょっとかわえぇなって思ってもうた。


人間、熱出とる時とセックスする時って似たような表情なるんやな。


…そんな敏弥の顔見よったらちょぉヤリたなって来たんやけど。


アカンかな。


疲れたんか知らん、僕の太股を撫でる手を力無く下ろして。
息を吐きながら目を閉じた敏弥。


「敏弥」
「んー…?」


敏弥の名前を呼ぶと、薄く目を開けて。
僕は敏弥に覆い被さって唇にキスをする。


いつもより熱を持つ唇を、柔らかく何度も啄む。


敏弥はされるがまま。
僕が勝手に、下唇を甘噛みして舐める。


何度もキスをして、唇から顎、首筋へと移動する。

何処にキスしても敏弥の身体は熱い。


あぁ、熱あるんやなーってぼんやり思った。


「…きょーくん、擽ったい、」
「擽ったいだけなん?」
「え?」


笑う敏弥を見て、片足を上げて敏弥が被っとった布団を剥ぐ。


「え、なに…」
「風邪引いた時は運動して汗掻いた方がえぇんやで」
「…さすがに俺、今そんな元気ねーよ…」
「僕が全部やるから、敏弥は寝とき」
「そう言う問題じゃ…、」
「煩い」
「ん…ッ、」


反論しようとする敏弥の唇をまた塞ぐ。


乗り気や無い敏弥も、弱っとる敏弥も、何や新鮮で。


はは。

病人相手に盛った自分自身に笑える。


アカンってわかっとるけど、風邪引いとるヤツ犯すって状況に興奮する自分。

救いよう無いな。

わかっとっても、止めるつもりは無いけど。


せっかくナース服着とんやから。

ヤらへんの勿体無いやん。







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