ルキの遅刻の理由/京流+玲



何かルキが遅刻してる。
たまに遅刻したりすんだよな、アイツ。

大概は時間通り来たりすんだけど。

ルキが原曲の基本作ってっから、ルキ来なきゃ進まねー時あんだよな。

でも、仕事大好き人間のルキだからこそあんま寝てねーし、たまに遅刻すんのかなって。
昔はよく電話したりして起こしたりしてたんだけど、やっぱルキが京さんと暮らしてからはそれも無くなったし。


そう言えば遊ぶ時間も減ったなー、とかそんな事を思いながら携帯を開く。


いくら働き過ぎっつったって、立派な社会人だし遅刻はどうよ、っつーね。


戒君は携帯見ながら溜め息吐いてるし。
ルキと連絡今つかねーのかな。

麗と葵さんは話しながらギターいじってるし。


一応、俺もルキにメールを送って携帯を閉じた。


「──はよ、悪ィ、遅れた」
「ルキ遅いよ。遅刻するにしても連絡入れなきゃ、」
「御免ごめん。ちょっと立て込んでてさ」


それと同時に、スタジオの扉が開いてルキが入って来て。
俺が送ったであろうメールが受信したのか、手に持ってた携帯が震えて画面を見て。


あんまり悪ィと思ってねーだろって感じの表情で戒君に軽く謝る。


戒君はルキが鞄から出したメモリを受け取って、まだ何か言いたそうな顔をして黙った。


何だかんだ、ルキには甘いんだよなー。
仕事量が半端ないのは、周知の事実だから。


麗や葵さんに挨拶しながら、ルキはサングラスを外して俺の傍まで来て、隣の空いてる椅子に座った。


ってか、ルキの格好。
寝坊して遅刻して来たにしてはかなりキマッてる感じなんだけど。

すげー髪とか立ってんだけど。


「おはよ、れいた」
「はよ。何、お前もしかして髪セットしてて遅刻したのかよ」
「あぁー格好良いだろ?これ今日の朝、京さんがセットしてくれたんだよ」
「あぁ…」


だからか。
コイツがあの人のやる事を止める筈もねーな。


嬉しそうに笑って、セットされた髪を指先で弄るルキは遅刻した事への反省は全く無し。


「京さん気紛れだけどさ、たまにこう言う風に気が向いたらセットしてくれんの。いいだろー」
「はいはい、羨ましーデスネー」
「でな、京さん坊主にしてたじゃん?それが最近は剃って無くて、伸びて来てから俺もお返しに京さんの髪セットしたんだよ。やっぱ京さんて坊主も似合ってたし、短髪も格好良いよな。マジ最高」
「…要するに、朝っぱらからお互いの髪をセットし合うって事をしてて遅刻したって事?」
「夢中になっちまって。あ、京さんは遅刻せずに行ったぜ?」
「はぁあ…」


何だこのバカップル。

何ごく普通に言ってんだルキ。


まだ仕事煮詰まってて寝坊して遅刻、って言う理由のが納得出来るんだけど。


「お前…結構バカだよな」
「は?何だよそれ」
「前々から京さん京さんてバカだなーとは思ってたけど、今しみじみ思ったわ」
「失礼だなー。ちょっと俺がセットした京さんの髪見てみろよ。めちゃくちゃ格好良いから」
「いや、別に見せてくんなくてもいいから」
「ほら、京さん」
「あー、うん」


そう言ってルキは携帯を操作して、出て来た画像を俺に見せて来た。

画面には黒髪で短髪なツンツンヘアーの京さんが、煙草を咥えた横顔を少し斜め上から撮った様な写メだった。


いやまぁ、京さんだなって感じだけど。


「な、格好良いだろ?」
「…京さん自身格好良いしな、男らしくて」
「だよな。でも家では結構だらけてるんだよ。そこがもう…好き過ぎんだよ。あ、ついでに京さんとの写メ」
「…そりゃ家でも格好付けてたらしんどいだろ…ってかお前、写メ撮ってる暇あんなら早く来いよ。遅刻ってわかってたんだろ」
「んー。でも京さんが機嫌良くやってくれたし、写メも一緒に撮らせてくれんの珍しいんだって」
「いや、知らねーし」


次に見せられた写メは、眉間にシワ寄せて不機嫌そうに煙草を持つ手を口元にやる京さんと。
出掛ける直前なのか今日スタジオに入って来た時のサングラスを掛けてたルキ。


はいはい、仲良くてよかったよ。


昔も別の意味でバカだなって思ってたけど。

今もバカだなって思う。

その理由は、今の方が全然いいけど。


「ちょ!頭触んな!潰れる潰れる!」
「うっせー。遅刻した罰だっつーの」
「ウゼェ!」




20110326



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