結局は好きやからな/敏京
「京くーん」
「なーん」
「呼んでみただけー」
「ははっ、何やのそれ」
「あ、笑った顔可愛いー」
「…喧嘩売っとんかお前」
あ、次はめちゃくちゃ不機嫌な顔になった。
京君はゲームしてる画面から、チラッと俺を見てまたテレビに視線を移した。
何か新しいゲーム買ったから、オフの日は引き込もってゲームするって言ってて。
でも会えねーのも寂しいから京君ち来たんだけど、京君マジでゲームばっかしてて構ってくんねーの。
もうちょっと俺にも構ってよー。
って、京君ちにあった漫画を読み終わった俺は暇なワケです。
胡座かいて猫背でゲームしてる京君の横顔をじっと見る。
ゲームの内容によって、ころころ表情変わるからそれはそれで面白い。
後で俺もこのゲームやらせてもらお。
「…何、見んな気が散る」
「京君、暇。構って」
「嫌。今日僕ゲームする言うたやん。勝手に来たんそっち」
「そりゃそうだけどさー」
でもさーちょっとはさー俺に構ってくれてもいいじゃんかー。
チラッと俺の方に視線を向けた京君は訝しげに見て来て。
そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃん。
オフだよ?
恋人の俺と一緒にいるんだよ?
いちゃいちゃしようよー。
…よし。
京君ゲームしてるし、勝手にしちゃおう。
「…ちょぉ何、邪魔、」
「いいからいいから、ほらゲームしてなよ。ね」
「何やねんな。お前ホンマ甘えたやな。救いよう無いわ」
「何とでも言えばいいよ」
そんなの、今に始まった事じゃねーだろ。
京君の後ろに回って、京君の身体を挟む様に足を広げる。
お腹の方に腕を回してから、京君の身体を自分に引き寄せて。
京君は文句を言いながらもされるがまま。
ホント、こう言う所が可愛いよね。
俺の身体に背中を預けて、肩の辺りに頭を乗せて京君はゲーム続行。
夢中だなー。
そんな面白いのかな。
ま、買ったばっかってハマるよねー。
京君のカラーして傷んだ髪の毛を指で梳いて。
頬を擦り寄せる。
あー京君の匂い。
好き、この匂い。
「…敏弥、擽ったい」
「んー?」
「ちょ、匂うな変態」
「やでーす。あ、ホラ京君、ゲームゲーム、死んじゃうよー?」
「チッ」
京君の首筋に顔を埋めて、京君の匂いを堪能してたら。
京君が嫌そうに肘を俺の身体に入れて来た。
そ知らぬ顔して、ゲーム画面を指差してやると京君は舌打ちをしてまたゲームに集中。
だから、俺も京君を撫でたり匂ったり堪能したりするのに集中。
ちゅっちゅと柔らかい首筋に吸い付いて、段々上へと上がって耳元にキスをする。
耳たぶって冷たくて、唇触りが気持ちイイよね。
そんな事を思いながら、京君といちゃいちゃ(勝手に)してた、ら。
「あ゛ー!うっざ!ホンマうっざいお前!」
「え?」
京君が声を上げて、持ってたコントローラーを投げた。
顔を上げれば、テレビ画面はセーブデータが映ってて。
それを見た俺は口元がニヤける。
俺の腕の中で、振り返った京君は睨み付けて来て。
「ニヤニヤすんな。お前キショいねん」
「イケメンの間違いだろ」
「は、言うとれ」
「もう京君だーい好き」
「あーぁ、今日はずっとゲームする予定やったんに」
「それよりも俺といちゃいちゃする方が楽しいよ」
「キモ…いつもアホみたいに一緒におるんやから、たまには離れぇや」
「嫌。京君大好きだもん。離れるなんてありえねー」
そう言って、京君の身体をぎゅーって強く抱き締めると。
京君が苦しいわ、って苦笑いしながら頭を軽く叩いて来た。
そのまま
伸びをして、俺の顔を見上げる。
こうやって、甘えると京君は何だかんだ甘やかしてくれるんだ。
これだから京君に甘えるのはやめらんない。
普段、好きとかあんま言ってくれない分。
京君は行動が顕著だから。
昔はちょっと寂しかったけど、今はもうわかってるから平気。
京君も好きだって、行動が示してくれるから。
「あーやっぱ京君大好き」
「『やっぱ』って何やねん」
「ん?毎回毎回、惚れ直すねって意味」
「アホか」
そう言って笑った京君は、俺を見上げたままで俺の後頭部に手を添えて引き寄せて来た。
されるがまま、キスをする。
さて、これから京君とのいちゃいちゃラブラブタイムの開始です。
終
20110326
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