るきの趣味/京流




何か時々、一定の時期んなったら僕んちの冷蔵庫はスイーツ系の食いモンが詰められる。

まぁ、甘いモンとか好きやけど、加減無く買って来るから若干うんざりするやん。


2人暮らしやし、るきが料理作るから食材あったりするけど。
いつもは綺麗に整理されとる冷蔵庫ん中が、ごちゃごちゃと詰め込まれとるし。


「なん、今日サンドイッチなん?僕ご飯がえぇねんけど」
「…米炊いて無いです」
「しかもこれ買ったヤツやろ。何これ」
「だって京さん、ポイントシールがサンドイッチは多いんですよ」
「…うん、意味わからん。つーかお前また余分に菓子とか買っとるやろ。2人しかおらんのに誰が食べんの」
「だってポイントシール集めたいじゃないですか。2人分欲しいんで、たくさん買わないと」
「……」


やっぱこいつポイント目当てか。

たまーに、このコンビニの商品が冷蔵庫ん中に増えるんやけど。


そのコンビニで買ったであろう、薄いサンドイッチが何かキャラクターの顔が描かれた皿に乗っとるし。

インスタントのコーンスープは似た様な顔が描かれたマグカップに入っとるし。


朝飯にこれって。

確かに時々トースト出たりはするけど、買ったモンを皿に盛っただけって、明らかに手抜きって感じがして嫌やねんけど。


やたらそのメルヘンな絵柄に、欲しがるるきにちょぉ引くわ。
それよりも、それを貰う為にアホみたいにポイント付いとるヤツ買うんがアカンのやって。

ちょっと加減して買え。


そんな事を思いながら、コーンスープを一口飲む。

少し甘いし、身体が温まる感じがした。


「お前…またこの変な絵柄が描いとん貰う気か」
「はい、今回はこいつの皿なんですよー」


そう言って、僕とお揃いに使いよるマグカップの顔の方を僕に向けて来る。


素っぴん眼鏡かけて寝癖ついた締まりの無い顔で、そんなん言われてもホンマ引くんやけど。


「…いや、いらんやろようけあるし」
「だってこれまでも集めたんですから、やっぱ集めなきゃって思うじゃないですか。可愛いし」
「お前自分が可愛いモン似合うとでも思っとんか」
「いえ。でも京さんも似合わないですけど、それ使ってるギャップが好きなんで」
「……」
「何か…京さんいかついのに使ってる食器可愛い系って、すげーギャップだと思いません?そう言うのを見るの、俺好きなんです」
「…叩き割ったろか、この皿とかマグ全部」
「それはやめて下さい」


目を細めて言うるきの言葉に、眉を寄せて睨み付ける。

るきの思考回路はホンマようわからん。


「あーでももうすぐポイント溜まるんですよ。2枚分」
「あそー」
「でもスイーツは賞味期限も早いし、仕事場に持ってってメンバーにあげようかなと」
「それが懸命やな。そんな甘いモンばっか食えんし。…やっぱコンビニのはあんま美味くないなぁ」
「ですよね」
「…お前が買ったんやろ糞が」
「でもポイント無かったら買いませんよ」
「商品業者に踊らされんなアホ」


向かいに座っとるるきはサンドイッチ食っとるし、他の飯が出て来そうに無いから仕方無く皿に盛られたサンドイッチに手を付ける。

そんな美味いモンちゃうわ、やっぱ。


「確かにこの皿とかマグって、店で買えるらしいんですよ。違う所は裏に店の名前が印字されてるぐらいで」
「ならわざわざこんなん買って貰わんでも買え」
「やーでも金出して買う程ではないけど、タダでくれるなら欲しいって感じしません?」
「僕はタダでもいらんから知らん」
「こうしてペアで使えるし」
「……」
「京さんがリラックマの使ってるって…もう、」
「オイお前なに笑っとんねん。死にたいんか」
「って感じで、貰ってしまうんですよね」
「……」


もうこいつ意味わからんわー。


他の食器はえらいデザイン選んでかっこよさげなん買っとったやん。
それでえぇやん。


そんな事を思いながら、るきと一緒の朝ご飯の時間。


アホな事言うるきの作った飯に慣れてもたから、やっぱ出来合いのモンは味気なかった。


やから、食べ終わってるきが『可愛い』言う顔のみの皿を見て。
ちょっとムカついた。




20110324



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