甘い恋人、お返し/敏京
「はー…腹減ったー」
「…の割りにはお菓子しか買ってねーじゃん」
「えぇやろ別に飯食いたい気分ちゃうし。敏弥やって酒とつまみしか買ってへんやん」
「うん、遅くなるとご飯食うの面倒だよねー」
「ん。あ、敏弥、僕の烏龍茶取って」
「はいはい」
仕事が終わって夜中になる前。
明日オフだし、コンビニでお菓子とかお酒とか大量に買って今日は京君ちにお泊まり。
テーブルの前にコンビニ袋を置いて、2人並んで床に座る。
飲み物の入った袋から京君の烏龍茶を手渡す。
京君は色々買ったお菓子の中からチョコレートを取り出して袋を開けていた。
ホントお菓子大好きだなー。
太ったり痩せたり変動激しいよね、可愛いけど。
ま、俺も人の事言えない感じの物ばっか買ったけどね。
ビールのプルトップを開けて、一口飲む。
隣に座ってる京君を見ると、チョコ食べながらテレビを点けて画面をじっと見てた。
可愛いなぁ。
ホント京君て可愛い。
大好き。
簡易テーブルに肘を付いて、ビールを飲みながら京君を見ていると京君が眉を寄せて俺を見た。
「…何」
「え?」
「何見とん」
「可愛いなーって」
「きしょ」
「もう、口悪いなぁ。…あっ!」
「何やの煩い」
ある事を思い出して、声を上げると京君は煩そうに眉を寄せてクッキーの袋を開けていた。
「京君京君、今日はホワイトデーだよ」
「何それ」
「バレンタインのお返しの日!だから京君お返し頂戴」
「貰った覚えも無いので嫌です」
「まぁ貰ったの俺だよね。チョコをかけた京君を美味しくいただ、」
「あ゛ーもう!煩いお前!」
「京君もノリノリだった癖にー」
「煩い変態」
京君は先月のプレイを思い出したのか、苦い顔をしながら視線を逸らした。
そのまま嫌そうな顔をして、クッキーを頬張る。
そんな京君に肩に腕を回してくっつく。
「じゃ、俺からのお返しにー。敏弥君の白い液体を差し上げまーす」
「丁寧にお断りします。触んな変態」
「あーホワイトチョコ買っておけばよかったなー。俺のちんこにホワイトチョコかけて京君が舐めるの!」
「絶対嫌やし。何なんお前の頭ん中どなんなっとん」
「京君とエロい事をしたいです」
「もう何なんコイツー」
京君は嫌そうに言いながらクッキーにかじり付く。
その時、回した手で京君の顎を持って、俺の方へ向ける。
その顔に近づいて、食べる前の京君が咥えたクッキーを半分かじった。
あ、チョコチップ。
甘い味が口内に広がる。
ビールと合わねーなー。
そんな事を思いながら、ちゅっと音を立てて京君の唇にキスをした。
唇を離すと、京君は半分のクッキーを食べながら俺をじっと見つめて来て。
「…お前こう言う事するん好きやんな」
「うん。何かラブラブっぽいから、好き」
「ふーん」
「もっと」
「嫌や僕の分無くなる」
「いっぱい買ってるからいいじゃん少しぐらい」
「明日も食べるし」
「少しぐらい俺の分もあるでしょー?」
「無い。酒買っとんやからえぇやん」
「もーだからおデブちゃんになるんだよ京君!」
「……あ、今ちょっと敏弥にもやろうと思ったけど止めた。絶対やらん。触んなボケ」
「あ!嘘うーそ!御免ね京君!どんな京君になっても大好きだよー!」
「うっそくさ」
慌てて否定すると、京君は呆れた顔して鼻で笑った。
ベシッと回した手を叩かれて。
不機嫌そうに残りのクッキーを食べてた。
「京君機嫌直してよー」
「……」
「ね!大好きだからー」
「……」
「直してくれないと襲っちゃうぞー」
「は、逆ギレやんそれ」
あ、笑った。
可愛いなーもう。
「ホンマ敏弥には呆れるわー。オラ有り難く食え」
「わーい」
そう言いながら、俺の口にクッキー突っ込んで来た京君。
何だかんだでこうして甘やかしてくれるんだよなー。
だから、大好き。
明日オフだし、今日はチョコレート無いけど頑張っちゃおー。
「今日は京君が白い液体飲む日ね!」
「敏弥の大好きな口移しで飲ましたるわ」
それはそれで興奮するよね、なんて言ったら。
京君はまた変態、と呟いた。
京君の事好きだからしょうがないじゃん?
ね。
終
20110317
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