クラッシュ/京流



朝。
もう少しで俺のマネが迎えに来るって時間。

俺よりも遅く出る京さんと朝ご飯食べて、着替えて髪もアイロンを掛ける。

伸びたなー。
まぁどうせ、飽きたら切るけど。


鏡の前の自分を見て、髪を少しイジって視線を逸らす。


リビングに行くと、着替えはしたけどソファの上で眠そうな京さんが肘を付いて座ってて。

この人このまま寝るんじゃねーの。


俺先に行くし、大丈夫かな。


リビングを横切り、自分のアクセを置いてる場所から、今日身に付ける物を取る。
それをジャラジャラと付けながら、京さんに向き直って。


「京さーん。寝ちゃダメですよー」
「…っさい。起きとる」
「ならいいっすけど。京さん今日も遅いですか?」
「うん」
「俺もリハで遅くなるんで飯、」
「はいはい。適当に食うから」
「ちゃんと食べて下さいよ」


京さんは鬱陶しそうに言いながら身体を少し伸びをさせて。

そんな様子に苦笑いしながら、いつもの香水をつけて手首と首筋に擦り付ける。


「────うわ、」
「え?」
「お前何それ」
「え、どれですか」
「そのズボンどしたん」
「え?あ、あー…格好良い感じでしょ、これ」
「…お前…そんな足出してどなんするん」


何かと思ったら。

今日卸した新しい黒いパンツが気になったらしい。

まぁ確かに膝から太股付け根にかけて、横に何本か穴開いてっけど。

太股結構見えてんだけど、かっこよくね?


京さんの前まで行くと、京さんは肘付いたまま視線で俺を上から下まで眺めて。
また太股辺りに視線をやる。


「ライブの衣装なんですけど、気に入ってプライベートでも買ったんです」
「また変なモン買いよってからに…大体膝ちゃうの破れとんて。女で流行っとんは見た事あるけど」
「あ、レディースですよ、これ」
「……」


あ、京さんめちゃくちゃ呆れた顔した。

だってしょーがねーじゃん。
俺細身のパンツのが好きなんだよね。

京さんプライベートはダボついた感じのが好きだけど。


「…るきの服の趣味ようわからんわー。派手やし」
「そうですか?最近落ち着いたと思うんですけど」
「何処がやねん」


話しながら京さんの隣に座ると、横から京さんの手が伸びて来る。


「…うわ、毛ぇ剃っとん?無いやん」
「一応衣装なんで、足出すし…毛あった方が嫌じゃないですか」
「あぁー…お前脇毛も無いもんな。女か」
「ヴィジュアル系なんで」
「ふーん」
「ちょ、京さん擽ったいです」


京さんは太股辺りの穴開あてる所から手を突っ込んで、素肌を撫でて来た。

ま、一応処理しとかねーと。

こんなにクラッシュ効いてるパンツ買ったんだし、毛出てたら俺が萎える。
見た目的に。


京さんの手が、破れた間から素肌を撫でて。

確かめてる様な、他意は無いその行為でも、やっぱり擽ったい。

少し太股を引っ込めると、逃げんな、とばかりに太股を掴む手の力が強くなった。


から、大人しく触られるがまま。


「…京さん」
「あ?」
「触りすぎ…な、気が」
「やってるき出しとるから触って欲しいんかと思うやん」
「違いますよ!お洒落ですお洒落!」
「はいはい」


聞いてねぇ…。

ってかいつまで撫でるんですか。

寧ろ太股揉んでますけど。


「あの、京さ、」
「ははっ、ぷにぷにやで此処。笑える」
「…これでも痩せたんですけど」


ずっと、破れた隙間から見える太股触ってるから、いい加減気になって京さんに声を掛けようとしたら。
俺の太股触って楽しんでるよこの人。

すっげー子供みたいに笑って感触楽しんでるよ。


あーもう。
その笑顔大好きだよ今畜生。


「どうせ俺は京さんみたいに筋肉ありませんよー」
「あったら逆にキモいわ。るきやからえぇやん」
「どう言う意味ですかそれ」
「やっぱ抱き心地ようなかったら嫌やし」
「…じゃーぷにぷにでいいです」
「おー」


そう言ってまだ撫でたり揉んだりする京さん。

何気にスキンシップみたいでいいんだけど。

京さんの言葉から今の俺がいいって言ってんのわかるから、全然いいけど。


サラッとそんな事言わないで下さいよ。
嬉しすぎるから。


「うわ、何ニヤけとんキモい」
「…京さんの所為です」
「知らんわボケ」




20110313



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