一番間近で見守る係/京流+玲
ルキと2人で、久々に買い物。
前はよく行ってたんだけど、ルキが京さんと暮らしてからはかなり減って。
ま、昔みたいに若くねーから、つるむ回数減ったっつーのも理由になんだろうけど。
オフだったし、ルキを買い物に誘ったら京さん夜中まで帰って来ねーからいいよ、だと。
ホントこいつの生活は京さん一色っつーか。
一応、バンドん中で一番仲良かったと自負してる俺だけど。
それがいつの間にかこいつの一番は京さんになってて。
友情と恋愛は別物だけど、ルキの場合、恋愛相手は男で。
何か立場まで取られた気がして仕方ねーな、とか時々思う。
今日ルキと服やアクセ見に行ったり、本屋寄ったり楽器見に行ったり。
普通に時間忘れるぐらい楽しかったし。
やっぱメンバーで仲間でダチで、女といる時とは違う感覚で楽しいしな。
「れいた、腹減った」
「お前…さっきクレープ食ったのに」
「うっせーなクレープで腹が膨れるかよ。飯食おーぜ」
「あー、だな。そろそろ飯時だし。何がいーよ?」
「んー…今日はカレー食いたい気分。前にメイクさんに教えて貰ったトコ」
「場所わかんの?」
「大体」
ルキも俺も、自分の買い物を大量にしてて。
俺の車に大量の買い物袋を突っ込んで、ルキが行きたいって言ってた店を目指す。
「なかなかいい雰囲気だな」
「だな。味もいいらしいし」
「ルキ何にすんだよ」
「んー」
ルキがメイクさんから聞いたっつー店は、ダウンライトが雰囲気のある結構いい感じの店だった。
カレー店って聞いただけならあんまいいイメージねーけど、普通に恋人と来れそうな感じ。
サングラスをテーブルに置いて、メニューを見出したルキ。
俺も何食おうかなー。
店員が水とおしぼり持って来て決まり文句を言ってまた捌ける。
あー、俺このカレーにしよ。
「ルキー。決まった?」
「俺これ。あと烏龍茶」
「了解」
店員を呼んで、自分の分とルキの分をオーダーする。
ルキは仕事ん時以外はホント自分でしねーんだよ。
だから、京さんといる時のルキ見てるとすげー不思議な感じ。
マジで。
あの我儘なルキがって思う。
「ここって禁煙?」
「じゃね?灰皿ねーし」
「そっかー…」
「今更なかなか禁煙出来ねーよなー」
「だよな。…あ、そう言えば本屋でさー咲人さんのアレ見たじゃん」
「んー?あぁ、アレな。脱いでるヤツな」
「アレ京さんがやったらすげー似合うと思うんだよ」
「……」
いや、京さんにあんなセミヌードやれとか言うのは無理だろ。
キレそう、あの人。
「刺青も完成したしさー。あの人の身体綺麗じゃん」
「や、知んねーけど。それはお前が恋人だから思うんじゃねーの」
「ちげーよ馬鹿。まぁれいたも鍛えてっからいんじゃね」
「そりゃどーも」
「京さんて格好良いから紙面に残して欲しいんだよなー」
「でも京さん、あんな感じの写真嫌いなんじゃね」
そんな話をしてると、先に頼んでおいた烏龍茶が届いて。
ルキが考え事しながら(どうせ京さんの事だけど)遠くを見つめながら話して。
少しだけ烏龍茶を飲んだ。
「あー、でも全裸になんかなったら俺が見る特権って思ってる部分の刺青までファンに見えちまうよな。それは嫌だなー」
「…好きにしろよ」
こいつ聞いてねー。
自分の話したい事を言って、俺は相槌を打つだけ。
どんだけ京さん好きなんだよ。
そんな、皆がお前じゃねーんだからそんな京さんの裸とか意識してねーよ。
寧ろ刺青全部見せられたら怖いっつーの。
ただでさえ威圧感あんのに。
そんな話をしてると、注文したカレーが来て。
見た目も匂いも美味そうだし。
見たら腹減って来た。
「あ、れいた待って!京さんに写メ送るから2人分の!」
「……」
食べようとした手が止まって、スプーンを置く。
ルキは携帯カメラを構えて、真剣にカレーを撮影してた。
「…もう食うぞ」
「まだ。もう1枚」
「……」
「…よし。綺麗に撮れた。れいたもういーよ」
「はいはい」
写メぐらいで何をそんな真剣に…って思うけど。
京さんの事を話すルキとか。
京さんにメール送る時のルキとか。
時々アレな時もあるけど、嬉しそうだしな、ルキ。
一番仲良いと自負して来ましたから。
一番、間近でこいつの事情見て来たんだから。
ルキは笑ってる顔がいい。
終
20110302
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