それでも好きだったりする/敏京




「あ、京君ここ寄っていい?」
「あぁー?えぇ、よ。ってここアダルトショップやないかい」
「そうだよ。早く入ろ」
「何が悲しいて男2人で…」
「面白いのいっぱいあるって」
「はいはい」


敏弥と飯食った帰り。

繁華街を歩いとると、敏弥が何かを見つけたんか立ち止まる。

つーか、ホンマ店とかひしめき合ってようけあるけど、こんな入り口の狭いアダルトショップやよう見つけたな。


敏弥がガキみたいに意気揚々と店ん中に入って行ったんに、溜め息を吐きながら後に続く。


僕こう言うトコ行った事無いんやけど。

コイツなんでこんな自然に入っとんねん。


店内は狭くて、所狭しといかがわしいモンが陳列されとった。

他に客はおらんようで、奥に店員らしき人がおった。
入ってった僕らん事をチラッと見て、またレジんトコで作業に戻った。


敏弥が棚にあるグッズを見とる間、周りを見渡す。

ようこんなエログッズ開発すんなぁ。


「ローション切れかけてたんだよねー。あ、京君何色がいい?」
「ちょ、お前煩い」


敏弥がローションを手に取り、普通に話し掛けて来るから若干焦る。

ここ外やし、店員おるのに何言うてんねんって思って。
店員の方見たけど、素知らぬ顔しとった。


まぁ、こんな場所やし、客の事をジロジロ見るような事せんやろけど。


「大丈夫だって。他にお客さんいないし」
「そうかもしれんけど…」
「ね、このピンクのローションとかやっぱエロくていいよね」
「…どうでもえぇんとちゃう」
「苺味だって。これにしよ」
「……」


楽しそうにする敏弥に呆れながら、僕も他の商品に目をやる。

敏弥とヤる為に、ガラに色々買って来て貰った事はあるけど。
色んなモン売っとんやなー。


そんな事を思いながら、男性器を模したバイブが並べられとる棚が目について眉をしかめる。


僕はこんなん使うん趣味ちゃうけど、何や敏弥持っとったなって思って。


敏弥変態やから、玩具とか好きやし。


「…何、何か欲しいの?」
「いらん」
「これとか見た目キツいねー。これにする?」
「いらん言うとるやろ。アホか」


何か見よったら、敏弥が後ろから手を伸ばしていっぱいある中のバイブを手に取った。
のを、奪い取ってまた棚に戻す。


アホか。
いらんわこんなん。

使われるん僕やないか。


「もうローション買うだけなんやろ。ほな早よ帰、…って何それ」
「ん?猫耳あったから買おうかなって」
「…何で」
「京君知ってる?今日は2月22日だよ」
「…やから」
「『にゃんにゃんにゃん』で猫の日だ!だから、猫耳」
「意味わからん。何でそれが必要なん」
「京君に、猫耳」
「死ね」


アホな事言う敏弥に呆れて、顔を歪ませて脇腹を殴る。


アホか。

ホンマにコイツはアホか。


嫌やわー。

何でこんな変態が恋人なんやろ。


「あっ、ちょっと待ってよ京君…!」
「煩い。帰る」
「待って待って。これ買って来るから」
「知らん」


敏弥に背中を向けて、悪趣味な店内から出て行く。

敏弥の声が聞こえたけど、無視。


店出たら、帰ろうとしとった道を歩く。

深夜やのに都会は人が多い。

寒いし、人混み嫌いやから舌打ち。


「きょーくん!」
「…やから、お前煩い」


スタスタ歩いとると、敏弥が僕の名前叫んで走って来やがった。


ニコニコ笑って僕の隣に立って歩き出す。
手にはさっきのショップで買ったであろう袋を手にしとって眉を寄せる。


「今日はにゃんこプレイしよーね!」
「せぇへん」
「京君に猫耳…絶対可愛いよ」
「今日自分ち帰るから」
「今日は京君ちに泊まるんだね」
「お前家に入れんからな」
「またまたー。あ、俺の分も買ったから、2人でにゃんこプレイね。色んなトコぺろぺろしてあげる☆」
「死んで下さい」


敏弥に猫耳とか…リアルにライブでもやりそうやん嫌やわ。


「はー。考えるだけで興奮しちゃった早く帰ろ!」
「もーホンマついて来んな」


僕の彼氏は変態です。

誰かどうにかして下さい。




20110223



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