京さんB※/京流
極稀に、こう言う風に荒れてる時は一緒に過ごす様になってからもあったけど。
京さんの言う通り『可愛がって』もらってた俺は。
ただ、貢いでた時代に耐えてた筈なのに。
こう言う扱いされるのは。
それと同じ筈なのに。
京さんとの関係が変化した今は、耐え難い程、痛くて辛くて堪らない。
俺は、この人の触れちゃいけない部分に触れたんだって思った。
まだ、俺の知らない部分。
「あ゛ッ、や、や゛ァ…っあ゛ァ゛あぁ…!!」
「っは、きっつ…、力抜け」
「ひ…ッ!」
「こっちが痛いわボケ!力抜け言うとるやろ!」
「────ッ」
ローションを大量にブチ込まれた穴に、京さんのが力任せに入って来て。
引き裂かれる様な痛みに、身体を仰け反らせて叫ぶ。
枕を握り締めて、前へと逃げ様としても爪が立つぐらい京さんの手が腰を掴んで引き寄せられる。
それによってまた京さんのが深く入り込んで、痛くて力抜くなんて出来無くてソコが思い切り締め付けてんのがわかった。
「あ゛…ッ、は…!」
「チッ」
「ぃ゛…っ!」
焼ける様な痛みに、勝手に涙がボロボロ溢れて。
京さんが舌打ちをして腰を引いた時、後ろを振り向いて手を伸ばす。
やめて、って意味で伸ばした腕を乱暴に掴まれて、そのまま一気に突き上げられた。
「い、や…ッあ、あ゛、京さァ…!」
「……」
そのまま律動が始まって。
大量に流し込まれたローションが音を立てて太股を伝う。
繋がったソコが痛くて熱くて、無言で機械的に腰を打ち付ける京さんに更に涙が出て来た。
乱暴にされる事はあったけど、いつもはやっぱり京さんとセックスしてるって自覚があって。
こんな風に、物みたいに扱われるやり方はどうしようもなく辛い。
腕を引っ張られたまま、何度も突き上げられて。
枕に額を擦り付けて律動に耐える。
中を抉られる度、痛みと疼きが交差する。
「あ゛ァ…ッあ、京さ、痛…ッ!やぁあ…っ」
「……」
「待っ、は、あっ、ぁ゛…!」
「ッさいわボケ!嫌嫌言うてそんな僕が嫌なんかるきの癖に…っ」
「ちが…ッ!」
「何が違うん、どいつもこいつもホンッマ…!」
「い゛ッ、たァ…!!」
思い切り最奥に突き入れられると、掴まれてた片腕が解放されて。
背中に鋭い痛みが走った。
京さんに、引っ掻かれてるんだってわかる。
やり場の無い感情が、俺に向けられて。
逃げたい訳じゃないって、言い訳なんか今の京さんには無意味で。
更に深く繋がろうと、内壁を擦られるとビリビリした感覚が背筋を這い上がる。
こんな状況下でも少なからず興奮を覚える自分の開発された身体がどうしようも無い。
京さんとじゃなきゃ、わからなかった自分の性癖。
でも、今日はそんな事に対する京さんの罵りも。
俺の好きな所を探る事も、一切無くて。
「うぁ…ッあ…!」
「っは…はー…っ」
背中の痛みがなくなったら、うなじに重みが加わって。
京さんの手が首を後ろから掴んでシーツに押し付ける。
上から体重を掛けられて、首を絞められた時の様にはならないけど顔が枕に沈んで苦しい。
ぐちゃぐちゃ鳴るソコが、またキツく京さんのを締め付けて。
くぐもった声で喘ぎながら、段々早くなる律動に身体が揺さぶられるまま。
セックスと言うより、暴力に近いこの行為。
「う゛っ…、あ…っきょ…ッ!」
「……っ」
首筋に指が食い込んで、ピストンが更に早くなった。
あ、イくんだって思うと京さんのをぎゅって締め付けんのはもう癖の様なモノで。
「……ッ、」
イく瞬間、小さく俺の名前を呼ぶ声が聞こえて。
それだけで俺の鼓動は跳ね上がる。
奥で京さんの熱が弾けて、緩く何度か行き来するのを受け止める。
「……ん…っ」
散々俺の中を犯してた京さん自身が出て行った。
同時に首から手も外されて。
あぁ、終わったんだって、そう思った。
ローションと京さんの精液が混じったのが太股を伝う感覚。
腰を上げたままの格好で、荒く息を吐きながら濡れた目で京さんを視界に入れ様と探す。
犯されて泣きたいのは俺の方なんですよ、京さん。
何でアンタがそんな顔すんの。
「 」
わかってます。
こう言う時にしか弱音を吐けない貴方の事は。
痛みに朦朧とした意識の中で聞こえた幻聴って事にしますから。
「きょぅ、さ…ん…」
貴方の逃げ場が俺なら、フラッシュバックする恐怖も。
惨めな辛さも。
全部全部、受け入れれる。
月灯りの中、静かに眠る京さんの寝息と時計の音だけが聞こえる。
殴られたトコは痛いし。
犯されたケツも痛いし。
中出しされたから風呂入って洗いたいし。
頑張って作った料理やケーキも出しっぱなしなんですけど、京さん。
明日になったら冷めて不味くなってそう。
やりたい事、いっぱいあるんだけど。
あの後、落ちる様に寝てしまった京さんは。
俺の身体をがっちり抱き込んだまま、胸元に顔を擦り寄せて動かない。
…マジ寝てんのかな。
眉間に皺、めちゃくちゃ寄ってっけど。
少し身じろきしたら、京さんの腕に更に力が入って。
もう抜け出すのは諦める。
朝早めに起きて風呂入ろ。
溜め息を吐いて京さんの背中に腕を回す。
あーもう。
せっかくの京さんの誕生日、過ぎちゃったじゃん。
おめでとうも言ってねー。
すがり付く様に眠る京さんの頭に唇を寄せる。
殴られた所が痛いけど。
すっげー怖かったけど。
こう言うのを見せられると、何もかもが良くなって来る。
京さんがこうするのは俺だけだって、思ってるから。
昔から変わった様で、実は何も変わって無いのかもしれない。
子供みたいで、そこが愛しい。
俺は何処にも行かないよ。
京さんに、何をされても。
不安なら何度でも確かめればいい。
昔みたいに。
誕生日おめでとうございます。
来年は、当日に言わせて下さいね。
終
20110306
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